おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

*

『新釈走れメロス 他四篇』 森見登美彦 名作のオマージュ

   

書評的な読書感想文204

『新釈走れメロス 他四篇』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

森見登美彦(作家別索引

祥伝社文庫 2009年10月

青春 友情(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

原作をほとんど知らなかったので、普通の森見作品として読みました。女性キャラが弱くややパンチに欠けますが、「走れメロス」は相変わらずの馬鹿馬鹿しさを楽しめました。原作を知っていると見方が変わるのか?

 

 

あらすじ

あの名作が京都の街によみがえる!?「真の友情」を示すため、古都を全力で逃走する21世紀の大学生(メロス)(「走れメロス」)。恋人の助言で書いた小説で一躍人気作家となった男の悲哀(「桜の森の満開の下」)。――馬鹿馬鹿しくも美しい、青春の求道者たちの行き着く末は?誰もが一度は読んでいる名篇を、新世代を代表する大人気著者が、敬意を込めて全く新しく生まれかわらせた、日本一愉快な短編集。(作品紹介より)

 

 

名作のオマージュ

物語は五つの短編からなります。それぞれ「山月記」(中島敦)、「藪の中」(芥川龍之介)、「走れメロス」(太宰治)、「桜の森の満開の下」(坂口安吾)、「百物語」(森鴎外)がモチーフのなっています。

 

タイトルはそのままに舞台は京都に、登場人物の多くが大学生の物語と生まれ変わっています。ただ、私は二十年以上も前に「走れメロス」を読んだことがある他は未読なので、原作をどのようにパロディにし、かつ原作のどんなテーマを引き継いだのかはよく分からないまま、普通の森見作品として読みました。

 

 

パンチが弱いか

普通の森見作品と読むとややパンチが弱い感じがしました。表題作の「走れメロス」は、捕らえられた親友の友情にこたえるためになぜか京都中を逃げ回る物語で、森見さんらしいパワーと馬鹿馬鹿しさを備えています。

 

ただ、他の作品は原作があるという制約があるためか、ハチャメチャ振りが弱く、また、森見さんの作品に特有の魅力ある女性キャラクターが不在なのが残念でした。

 

彼は留年と休学を巧みに使いこなし、およそ不可能と言われたモラトリアム延長の歴史的記録へ果敢に挑んだ。誰一人讃える者とてない孤独の行軍であり、如何にも万里孤軍来たる感が深い。彼のあまりの器の大きさに実家は早々に匙を投げ、財政支援を打ち切った。(P11)

なんて文章からも分かるように随所に森見さんらしい言葉遣いなどは見られますが、全体としてはややパワー不足を感じました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

名作のオマージュなのに、原作をほぼ知らずに読んだ私としてはややパンチに欠けた作品になっています。ただ、原作を読んだことがあって森見登美彦さんが好きな方なら、もっと別の楽しみ方もありそうです。

 

原作を読んだことのない私の視点からは、おすすめ度は星三つです。

よろしかったらクリックお願いします。

 

 - ☆☆☆ , ,