おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『百舌の叫ぶ夜』 逢坂剛 こってり濃厚

   

書評的な読書感想文198

『百舌の叫ぶ夜』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

逢坂剛(作家別索引

集英社文庫 2014年3月

警察 ミステリー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

面白いです。色々な所に色々な方法で仕掛けがあり、打ち止めかと思いきやさらにトリックがあります。良い意味で濃厚でしつこい。また、登場人物がそれぞれ正義を持っていて、一概に善悪で割り切れないのも良いです。

 

 

あらすじ

能登半島の突端にある孤狼岬で発見された記憶喪失の男は、妹と名乗る女によって兄の新谷和彦であると確認された。東京新宿では過激派集団による爆弾事件が発生、倉木尚武警部の妻が巻きぞえとなり死亡。そして豊明興業のテロリストと思われる新谷を尾行していた明星美希部長刑事は……。錯綜した人間関係の中で巻き起こる男たちの宿命の対決。その背後に隠された恐るべき陰謀。迫真のサスペンス長編。(作品紹介より)

 

 

「百舌シリーズ」第一弾

ドラマで話題の「百舌シリーズ」第一弾。以前紹介した『裏切りの日々』はシリーズの前日譚でエピソードゼロ的な扱いです。なので、主要キャラが初めて登場するこの第一弾から読んで問題ないです。

 

「百舌シリーズ」の最大の特徴は、公安警察を描いた物語ということです。公安警察とは、テロリストや極左暴力組織、右翼団体などを対象に調査し、主に国家体制を脅かす事案に対応するための部署になります。ただ、思想的な小難しさがあるわけではなく、爆弾を使ったテロリストを追いつめる様子や、普通の事件を担当する刑事警察との軋轢を描いた物語です。

 

 

こってり濃厚

爆弾事件の真相やテロリストの正体など、あらゆる所にトリックが仕掛けられています。仕掛けられているトリックも正統派のものから変化球まで色々で、もう打ち止めかと思ったところから、さらにどんでん返しがあったりします。

 

たくさん仕掛けがありすぎるので要所要所で、本を読む手を止め、頭の中で情報を整理しないといけないときが何度もありました。また、作者があとがきで書いていて、始めて仕掛けに気付くこともありました。ただ、詰め込みすぎな嫌いがないとは言いませんが、ゆっくり丁寧に読めば色々な仕掛けが楽しめる、良い意味でこってり濃厚な作品です。

 

 

正義も悪も己の正義がある

物語の発端となった爆弾事件を追いかける警察は決して一枚岩ではありません。公安警察と刑事警察の軋轢があり、公安警察の内部でも考え方や信じる正義に微妙な違いがあります。また、テロリストのサイドもそれぞれの立場や信念で考え方や行動に違いがあります。

 

どの登場人物も己の立場や考え方の中で正義を貫いていて、最後には、法律的な善悪は別として、何が正しくて何が悪なのか分からなくなってしました。

 

登場人物の正義に読んでいる私の正義が揺さぶられた作品といえます。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

こってり濃厚な仕掛けを堪能できたし、最後のほうは心を揺さぶられました。次回作も絶対に読むということで、おすすめ度は星四つです。

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