おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『消えた少年』 東直己 安定の面白さ

   

書評的な読書感想文195

『消えた少年』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

東直己(作家別索引

ハヤカワ文庫 1998年6月

ハードボイルド ミステリー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

安定の面白さ。今回はアクションシーンが良かったです。特に、ラストの犯人の暴れっぷりは圧巻。また、アウトローなのにお人好しな主人公の正義感や行動原理に共感できるので、物語にのめりこむことができます。

 

 

あらすじ

学校では問題児扱いだが映画が大好きな中学生、翔一と知り合い意気投合した(俺)。ところが、翔一の親友が惨殺死体で発見され、一緒にいたはずの彼も行方不明となってしまった。変質者による誘拐か?暴力団がらみなのか?それとも、学校をも巻きこんだ障害者施設反対運動に関係があるのか?担任の教師、春子に翔一の捜索を依頼された(俺)は、彼の姿を探してススキノを疾走する!新感覚ハードボイルド長篇第三作。(作品紹介より)

 

 

『探偵はバーにいる』のススキノ探偵シリーズ長編第三弾

『探偵はバーにいる』と以前紹介した『バーにかかってきた電話』の続編で、長編の第三弾です。また、以前紹介した『向う端にすわった男』はこのシリーズの短編集です。前作とのつながりは薄いので、この巻から読んでも楽しめます。

 

物語は中学生が惨殺されるというショッキングな出来事で始まり、中盤以降も重い話が続きます。一方で、主人公の「俺」は相変わらず軽薄でお調子者なので、話が暗くなりすぎずに読むことができます。

 

このシリーズが好きな人なら絶対に楽しめる安定の面白さです。

 

 

終盤のアクションシーンは秀逸

ちょいちょいアクションシーンがあって、主人公や主人公の親友の高田が活躍するのは今までと同じですが、スカッとするアクションシーンや手に汗握るシーンなどいつになくアクションシーンが良かったです。

 

特に、ラストの犯人の暴れっぷりは秀逸で、腕力的には最強の敵といえるかもしれません。ぜひ映像化してほしいなと思いますが、中学生が性的暴行を受けて惨殺される話なので、ちょっと厳しいかなと思います。

 

 

主人公に共感

今回の作品だけでなく、ススキノ探偵シリーズ全般が安定して面白い理由に、主人公が魅力的であることが挙げられます。どこが魅力的かといわれれば、大麻栽培をやったり、ギャンブルで生計を立てているアウトローで、私とはかけ離れたキャラなのになぜか共感できるところだと思います。

 

主人公の「俺」が消えた少年を必死に探す動機は、報酬でも美人の担任教師に依頼されたかでもなく、学校からはじかれたその少年と映画の話で盛り上がり、その少年のこと気に入ったからです。

 

一方で美人の依頼者の春子と行動をともに

一度は俺の手の甲が、思いがけないほどふっくらした春子の胸に軽く触れた。股間に甘い雰囲気が漂い、俺は四分の一ほど勃起して、何となく赤面した。(P104)

と、しょうもないことを考えていたりもします。また、中学生に向って

「外見で人を判断しちゃいかん。俺は、外見で人を判断するけどな。」(P373)

と、身も蓋もないことを言ってます。

 

軽薄でお調子者なのは間違いありませんが、実は芯の通った正義感や行動原理を持っていて、その点に共感できたりあごがれたりできるのだと思います。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

このシリーズが好きな人は間違いなく楽しめます。また、このシリーズが始めての人も、シリーズの特徴をしっかり備えている作品なので、これが楽しめれば他の作品も楽しめるって事で、おすすめ度は星四つです。

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