おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ ラスト二行の衝撃

   

書評的な読書感想文192

『タイトル』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

乾くるみ(作家別索引

文春文庫 2007年7月

恋愛 ミステリー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

平凡な恋愛小説が最後の二行でガラッと変わります。少し考えて意味が分かったときは鳥肌が立ちました。また、物語のテーマであるイニシエーション・ラブって考え方は面白いかも。自分の時を考えてしまいました。

 

 

あらすじ

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて……。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説――と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。(作品紹介より)

 

 

ラスト二行の衝撃

何をどう書いてもネタバレの危険をはらんでいるので詳しくは書けないけど、割と平凡な恋愛小説がラスト二行でガラッと変わります。私は少し考えて意味が分かったとき、鳥肌が立ちました。あと、男女で受け取り方が変わりそうな気がしました。

 

ただ、これから読む人に言えるのは一つだけ。一つはこの作品を読むときは絶対に後ろは見ない事。読む価値がなくなります。ミステリーで犯人がわかった状態で物語を読むことの比じゃないほど、つまらなくなってしまいます。

 

 

バブルな静岡

物語は携帯どころかポケベルでさえなく、ファミコンが出たばかりの時代に、静岡を舞台にした話。物語の中に出てくる花金とかテレカとかバブルの頃の風俗がちょっと楽しいです。

 

私はバブルの時代は幼稚園から小学校低学年で、恩恵を受けてないというか記憶すらほとんどないレベルですが、作中でちょこちょこバブルをうかがわせるキーワードが出てきたりして楽しめました。解説にバブル時代の用語の説明があるので(ただし、この解説も重大なネタバレがあるので最後に読むべきです)、よく分からないところも最後には理解できます。

 

 

再読の進め

『イニシエーション・ラブ』はこのブログを書くために、今回は再読なのですが、再読することで色々見えたことがありました。作品紹介で「必ず二回読みたくなる」なんて紹介されていますが、確かにラスト二行を知ってからもう一度読むと、後追いで色々衝撃を受けたりもします。ただ、ネタバレのキケンがあるのでここでは触れません。

 

私が再読して見えてきたことは他にもあって、タイトルにもあり、物語のテーマである「イニシエーション・ラブ」という考え方がよりいっそう理解できたことです。「イニシエーション・ラブ」とは

「イニシエーション……通過儀礼ってこと?」

「そう。子供から大人になるための儀式。私たちの恋愛なんてそんなもんだよって、彼は別れ際に私にそう言ったの。(中略)この世には、絶対なんてことはないんだよって、いつかわかるときがくる。それがわかるようになって初めて大人になるっていうのかな。それをわからせてくれる恋愛のことを、彼はイニシエーションって言葉で表現してたの。」(P232)

なんて作中では表現されています。この文章を一回目に読んだ時には、このままの意味にしか受け取れません。ただ、全てを理解してからもう一度読むとかなり深い意味が隠されているのがわかります。

 

自分の「イニシエーション・ラブ」はどこだったんだろう、なんて考えてしまいます。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

看板に偽りはなく、確かにラスト二行で衝撃を受けますし、二回読みたくなります。そして、二回読む価値もあると思います。そんな作品はなかなかないってことで、星四つです。

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