おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『朧月市役所妖怪課 河童コロッケ』 青柳碧人 相変わらず思い切った設定

   

書評的な読書感想文191

『朧月市役所妖怪課 河童コロッケ』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

青柳碧人(作家別索引

角川文庫 2014年3月

ホラー ファンタジー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

基本的には、主人公が悪戦苦闘しながら成長するお仕事エンタメ小説。その仕事が市役所の妖怪課なのが特徴的。ちょっぴりホラーなのと、役所で妖怪を管理して、共存するという設定が面白い。たぶん次回作も読みます。

 

 

あらすじ

この朧月市は、妖怪たちを封じ込めるために作られた自治体なんだよ――亡き父の遺志を受け継ぎ、晴れて公務員となった宵原秀也は、困惑した。朧月市役所妖怪課。秀也が身を置くことになったその部署は、町中に現れる妖怪と市民との間のトラブル処理が仕事だというが……!?公務員は夢を見る仕事……戸惑いながらも決意を新たにした秀也の、額に汗する奉仕の日々が始まった!笑顔と涙、恋と葛藤の青春妖怪お仕事エンタ。(作品紹介より)

 

 

相変わらず思い切った設定

以前紹介した『浜村渚の計算ノート』シリーズや『ヘンたて』シリーズの作者で、「今好きな作家で打線を組んでみた」で投手陣の抑えにいる青柳碧人の作品です。『浜村渚の計算ノート』シリーズや『ヘンたて』シリーズは思い切った設定が特徴的でしたが、この作品も相変わらず思い切った設定です。

 

この作品は、亡き父にあこがれて公務員となった主人公の秀也が、現実と理想のギャップに悪戦苦闘しつつも、成長していくお仕事系エンタメ小説です。と、ここまでは平凡なのですが、秀也が配属されたのが朧月市役所の妖怪課。朧月市は、戦後GHQの政策によって日本中の妖怪を一堂に集めて丸ごと結界で封印された市で、内部では人間と妖怪が共存しています。そして、妖怪課とは人間と妖怪のトラブルを処理する部署です。

 

妖怪物とお仕事系小説をいっしょに書くために作られたようなちょっと無茶な設定ですが、実態のある妖怪が罪を犯しても裁判で裁かれない理由が論理的に?説明されていたりして、結構ディテールまでしっかりして、それなりにリアリティを感じました。

 

妖怪を市役所で管理し、人間との共存を目指すという設定はなかなか面白いかなと思います。

 

 

オリジナル妖怪でちょっとホラー

物語に登場する妖怪たちはオリジナルのようで(ネットで調べてもヒットしなかったので)、河童に似た河狒狒や、家の間取りを自在に変えて人間を閉じ込めてしまう長屋歪など個性的な妖怪が出てきます。また、

「ええ。妖怪だって時代に合わせて変化するんです。結界が解けて久しぶりに人間界出てみたら、どうも自分の知っている街と違う。あきらかに時代遅れな和服をまとっている自分を恥ずかしく思ってそのまま山の中にひっこんでしまう妖怪もいれば、昔ながらのスタイルで人間に悪さをする妖怪もいます。ところが、時代に対応して現代風に変貌を遂げる前向きな妖怪もいるんですよ」(P68)

とるように、一筋縄ではいかない様子。

 

そんな、オリジナル妖怪たちのちょっぴりホラーなシーンもあるので、単なるお仕事系小説とは違った楽しみ方もできました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

個人的には思い切った設定と、オリジナル妖怪のホラーシーンがなかなか楽しい上に、結末があきらかに続編があるような引きで、先が気になるので次回作も読みます。

 

ただ、人におすすめするとなると、お仕事系としては現実の特殊な職業の方が面白いでしょうし、妖怪物としてはちょっと軽いかなと思います。なので、おすすめ度としては、辛めの評価で星二つに近い、星三つになります。

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