おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『鹿男あをによし』 万城目学 神話的ホラ話

   

書評的な読書感想文188

『鹿男あをによし』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

万城目学(作家別索引

幻冬舎文庫 2010年4月

ファンタジー 青春(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

面白い。奈良+古代史+神話にホラ話が加わったファンタジー。虚実織り交ぜた神話や古代の話はワクワクします。また、なんだか頑な性格の主人公や気の強い女子高生、しゃべる鹿などキャラが魅力的です。

 

 

あらすじ

大学の研究室を追われた二十八歳の「おれ」。失意の彼は教授の勧めに従って奈良の女子高に赴任する。ほんの気休めのはずだった。英気を養って研究室に戻るはずだった。渋みをきかせた中年男の声が鹿が話しかけてくるまでは。「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」。彼に下された謎の指令とは?古都を舞台に展開する前代未聞の救国ストーリー!(作品紹介より)

 

 

奈良+古代史+神話+ホラ話

毎度お馴染み、「今好きな作家で打線を組んでみた。」で三番に入っている万城目学さんの作品。以前紹介した『鴨川ホルモー』、『プリンセス・トヨトミ』と並んで、日常に非日常的なファンタジーが紛れ込んでしまう作風の作品。

 

今回の舞台は奈良で、『鴨川ホルモー』が京都の歴史を踏まえ、『プリンセス・トヨトミ』が大阪と豊臣家の歴史を踏まえているのに対し、今回は奈良と平城京や大仏あたりかと思いきや、古代史さらには神話にまで話は広がります。

 

日本史最大のミステリーにも言及し、誰もが知っている歴史上の人物のあの人も出てきたりします。また、関東のある神様と奈良の神様につながりがあったりと神話的な話まで出てきます。どこまで本当でどこまで嘘かわからなくなるリアリティーは相変わらずで読んでいてワクワクできました。とにかく、スケールの大きさでは三作品の中で一番かもしれません。

 

 

魅力的なキャラクターたち

今作は物語の面白さだけでなく、魅力的なキャラクターたちも見所です。ちょっと神経質で、なんだか頑なな性格の女子高教師の主人公はもちろん、面倒見はよいが野心家と噂されちょっと底知れない教頭のリチャードなどなど。

 

中でも個人的なお気に入りのキャラクターは気が強くてちょっと生意気な女子高生の堀田イトです。彼女、初登場の時に主人公の授業を遅刻してくるのですがその言い訳が、

「駐禁を――取られたんです」(中略)

「マイカーじゃあありません。マイシカです」(中略)

「そうです。自分の鹿です」

マイ鹿――見たことも聞いたこともない言葉が、ぽっと頭の中に浮かんだ。(P24,25)

なんて言って主人公を煙に巻きます。

 

これ以降も何かと主人公に突っかかってきますが、それにはわけがあるのですが、真実がわかった時にはちょっと健気に思えてしまってお気に入りになってしまいました。

 

他にはなんといってもしゃべる鹿です。東大寺を散歩している主人公に鹿が話しかけることによって物語の扉が開くのですが、雌鹿くせに渋みをきかせた中年男の声で話しかけれきて、主人公にあれこれ命令します。しかもその命令をこなせないとどうやら日本が滅んでしまうようで。

 

と、重要キャラでシリアスなシーンなのに話の途中でポロポロと糞をしたり、とあるお菓子に目がなかったりします。

 

上に書いた三つの作品はどれも壮大なホラ話を楽しむ物語ですが、その中でも一番キャラクターが立っているのが今作なので、そこも見所です。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

奈良の地域性、古代史、神話の虚実織り交ぜたホラ話、魅力的なキャラクター。相変わらず万城目ワールド全開で面白いってことで、おすすめ度は星四つです。

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