おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『the TEAM ザ・チーム』 井上夢人 変幻自在の読み味

   

書評的な読書感想文187

『the TEAM ザ・チーム』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

井上夢人(作家別索引

集英社文庫 2009年1月

サスペンス ミステリー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

面白い。インチキ霊導師の調査チームが、霊現象の裏に隠された犯罪を暴く物語。気楽に読める娯楽小説で、痛快な読み味です。重い話も多いのですが、チームのおかげでちょっとだけ救われるので後味は爽快です。

 

 

あらすじ

黒いサングラスをかけた派手な衣装のおばさん。この人こそ、今をときめく、霊導師・能城あや子。テレビ番組の人気コーナーを持ち、個別の相談は30分8万円にもかかわらず、5カ月待ちという盛況ぶり。悩みをぴたっと言い当て、さらに奥深くにある真実を探り当てる。恐るべし霊視の力……ではなく、実は彼女のバックには、最強、最高の調査チームがついていたのだ。弱きを救い、悪を討つ!爽快・痛快連作短編集。(作品紹介より)

 

 

これぞ娯楽小説

今好きな作家で打線を組んでみた。」で岡嶋二人さん名義と一緒に二番に入っている井上夢人さんの作品。今回このブログを書くために再読したのですが、この『the TEAM ザ・チーム』のおかげで「好きな打線~」で二番に入ったと言っても過言ではない作品です。

 

今回の作品は、以前紹介した岡嶋二人さんの『焦茶色のパステル』のような本格ミステリーとはもちろん、井上夢人さんの『プラスティック』のような息の詰るようなサスペンスとも違う、気楽に楽しめる娯楽小説です。しいて言うなら、伊坂幸太郎さんの『陽気なギャングが地球を回す』に近いかもしれません。

 

個人的には、色々な読み味のある作家さんが好きなので、緊張感のある作品だけでなく、こういった気楽に読める(しかも当然面白い)作品もある井上さんを「好きな打線~」に入れました。

 

 

霊現象に隠された犯罪

物語の主人公は、インチキ霊導師のチームです。テレビや個別の相談で霊視する予定の人を調査チーム徹底的に調査し、それを基に霊視をします。この調査の過程で、相談者が霊現象と思っていたことにも、実は悪意のある人間の手が介在しているとこが判明します。

 

最終的には霊視をすること(正確にはフリ)で犯罪を暴き、悪を懲らしめることになります。肉親の自殺や、嫁姑問題など重い話を取り上げてはいますが、最後はチームのおかげで相談者がちょっとだけ救われる話になっているので、後味は重くないです。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

主人公たちのインチキ霊導師の嘘を暴こうとするフリーライターとその妻の会話

「能代あや子がやっていたことは詐欺だよ。霊能力があると嘘をついて、多くの人間を騙し続けてきたんだ。犯罪じゃないか」

(中略)

「だから、それで、どこに被害者がいるの?」

(中略)

「あたしだって、なにがなんでも能代あや子さんのやり方が正しいとは思わない。でも、彼女のお蔭で幸せになった人がたくさんいるのよ。彼女は嘘つきかもしれない。だけど、その嘘が、いろんな人を勇気づけたり、助けたりしてきたわけでしょ?」(P386~388)

この会話がこの物語のテーマかなって思います。ちなみに、幸せにしてきたのは相談者だけではなく、私たち読者もかなって思うってことで、おすすめ度は星四つです。

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