おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『ジーキル博士とハイド氏』 スティーヴンソン ジキルとハイド

   

書評的な読書感想文184

『ジーキル博士とハイド氏』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

スティーヴンソン(作家別索引

新潮文庫 1967年2月(ブログの画像は最新版のものです)

サスペンス 海外文学(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

テーマは、人間の二面性。主人公が真相を探るミステリー部分と、ジーキル博士が自分の内面の闇について語る場面の二つが見所です。誰もが持っている心の闇をえぐっているのが、百年以上も読まれ続けている理由か。

 

 

あらすじ

医学、法学の博士号を持つ高潔な紳士ジーキルの家に、いつのころからかハイドと名乗る醜悪な容貌の小男が出入りするようになった。ハイドは殺人事件まで引起す邪悪な性格の持主だったが、実は彼は薬によって姿を変えたジーキル博士その人だった――。人間の心にひそむ善と悪の闘いを二人の人物に象徴させ、“二重人格”の代名詞として今なお名高い怪奇小説の傑作。(作品紹介より)

 

 

海外文学について

このブログ初の海外文学です。海外文学は、まったく読まないわけではありませんがほとんど読みません。理由は、①物語の背景になる文化が違うので、受け取り方が作者の意図と違う時がありそう。②素晴らしい文章があったとしても作者がすごいのか、翻訳者の訳し方がすごいのかわからない時がある。

 

一応こんなことを思っていますが、これって古典の現代語訳でも同じことが言えそうですが、古典の現代語訳は抵抗なく読んだりしているので、食わず嫌いが一番の理由かも知れません。あとは、日本人作家で読みたい作品がいっぱいあるからと言ったところです。

 

まあ、こんな感じで海外文学はあまり読まない私がこの作品を手に取ったのは、「タイトルは良く知ってるし、まして、慣用句的に裏表のある人を、『ジキルとハイドみたいな人』なんて言ったりしているのに、内容はちっとも知らないから」です。二重人格を取り上げているんだろうなってことぐらいは一応予想がつきますが。

 

 

二面性と二重人格

物語のテーマは人間の二面性です。人間の善なる性質と悪意をもった性質の両方を極端に持った人間の苦悩を描いたサスペンスで、本当の意味の二重人格である解離性同一障害とはちょっと違うのかなと思います。

 

まったくの別人格のように振舞うジーキル博士とハイド氏の様子が解離性同一障害のようにも見えますが、同じ人格に宿る両極端な性質がとあるきっかけで片方だけ表に出るという考えが正しいです。なので、表裏のある人を「ジキルとハイドみたい」と表現するのは正解です。

 

 

ミステリー部分

物語の前半は、ジーキル博士の友人で顧問弁護士も兼ねている、アタスンがジーキル博士とハイド氏のまったく相容れない人物の関係性を不審に思い、二人の関係を暴こうとするミステリーパートです。

 

ネタバレとは違うかもしれませんが、ジーキル博士とハイド氏は同一人物であることは知っている上で読んでいても、全く外見の違う二人がいかにして交わるのか、ドキドキしながら読むことができます。

 

 

ジーキル博士の告白

物語の後半というか、最終章はジーキル博士の独白です。そこには、素晴らしい善なる性質と、強烈で巨大な悪の性質を持ったジーキル博士の苦悩が書かれています。善なる人物であるジーキル博士として生きながらも、その内面の悪の性質を抑えきれなくなってしまった人間の末路とも言えるこの独白ですが、その苦悩は実はどんなでも持ってる苦悩なのかなと思います。

 

自分の内面にある心の闇を制御しつつも、いつ暴走してしまうかと怯えることって誰にでもあるのかなと思います。そんないつの時代のどの国の人でも持っている苦悩をスリリングなサスペンス調で描いているので、百年以上経っても読み続けられているのかなと思います。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

タイトルは知っているけど内容は良く知らないから読んでみよう。そんな軽い気持ちで読み始めましたが、スリリングな展開に引き込まれ、最後のジーキル博士の独白では自分も持っている心の闇についてかなり考えさせられました。なかなか深い作品です。

 

ただ、重いテーマですし、私が100年以上も前の海外の文章と言うことで(翻訳はされていますが)、一定の読みにくさもあるのでおすすめ度は控えめの星三つです。

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