おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

*

『魔界転生』 山田風太郎 剣客オールスター

   

書評的な読書感想文181

『魔界転生 上下』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

山田風太郎(作家別索引

角川文庫 2002年11月

時代 バトル(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

柳生十兵衛VS伝説の剣客たち。前半の盛り上がりの割りに、後半の剣術勝負は冗長かも。ただ、ラストの盛り上げ方は流石です。やっぱり宮本武蔵は別格。奇怪な忍法を使う忍者は出てこない、ちょっとらしくない作品。

 

あらすじ

島原の乱に敗れ、かろうじて生き延びた天草側の軍師、森宗意軒は、幕府への復讐を誓い、死者再生の秘法「魔界転生」を編み出した。それは、現世に不満を抱く希有の生命力の持ち主を魂だけ魔物にして蘇生させるという桁はずれの超忍法だった。これにより次々と魔界から蘇る錚々たる武芸者達。彼らを操り、紀州大納言頼宣をそそのかした森宗意軒は、さらに由比正雪を手先として本格的に幕府転覆に乗り出した……。驚愕と戦慄の連続。息もつかせぬ展開。天才山田風太郎の最高傑作。 (上巻作品紹介より)

 

 

忍法勝負はありません

毎度おなじみ「今好きな作家で打線を組んでみた。」で七番に入っている山田風太郎さんの作品。山田さんの作品と言えば今まで紹介してきた『甲賀忍法帖』のように、歴史の裏で忍者同士が奇怪な忍法を使って戦う物語というイメージがありますが、今回は忍者同士の戦いはありません(奇怪な忍法はちょっとだけ出てきますが)。

 

今回の作品は映画にもなっていて、山田風太郎さんの最高傑作とも言われています。その内容は「魔界転生」という死者を生き返らす忍法で復活した剣客たちを柳生十兵衛が倒す物語です。

 

 

復活する剣客たち

物語の前半は島原の乱をかろうじで生き延び、幕府転覆を虎視眈々の狙っている森宗意軒が、「魔界転生」の秘法で次々と伝説的剣豪を復活させる話です。

 

「魔界転生」で復活できる人物は、現世に不満を抱く稀有の生命力の持ち主だけで、かなり個性的で有名な剣客ばかりです。また、森宗意軒の陰謀に加担するのは、由比正雪や紀州大納言頼宣と歴史上の人物です。前半はほぼ敵側の話に終始しますが、有名な剣客に歴史上の人物達の陰謀なので、いやが上でも今後の盛り上がりを期待させられます。

 

 

柳生十兵衛VS伝説の剣客

物語の後半は、柳生十兵衛VS伝説の剣客たちの戦いです。ただ、前半の盛り上がりに比べ、後半はちょっと冗長で間延びした感じを受けました。7人いる剣客を十兵衛が一人ずつ倒すという構図の繰り返しなのと、勝負の決着の要因が偶然頼みなのが冗長な感じを抱かせるのかなと思います。

 

設定的に十兵衛よりも、「魔界転生」で復活した剣客のほうが強いのはわかりますが(「魔界転生」するとパワーアップする)、毎回何かしらの幸運で十兵衛が勝つのはちょっと微妙かなと思いました。

 

ただ、そこは流石山田風太郎さんで、最後の最後でこの冗長なループがきれ、意外な展開に物語りは進みます。ちょっとネタバレしてしまいますが、最後の敵は宮本武蔵で、彼だけは色々別格な上に、武蔵に相応しい戦いの舞台が用意されかなり盛り上がります。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

この作品は山田風太郎の最高傑作と言われたりしますが、期待した忍法合戦がないことと、前半の盛り上がり比べ後半ちょっと失速してしまうので、おすすめ度は星三つです。

よろしかったらクリックお願いします。

 

 - ☆☆☆