おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『下町ロケット』 池井戸潤 特許を守れ

   

書評的な読書感想文180

『下町ロケット』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

作者名(作家別索引

レーベル 2013年12月

経済 お仕事(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

弱者が強者を倒す痛快なエンタメ作品。面白い。物語の構図は中小企業対大企業、技術力対資本力と善悪のはっきりした分かり易い形。ただ、色々な考え方をする人たちがいることで、物語に深みとリアリティがあります。

 

 

あらすじ

研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃製作所。創業以来のピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が、佃製作所が有するある部品の特許技術に食指を伸ばしてきた。特許を売れば窮地を脱することができる。だが、その技術には、佃の夢が詰まっていた――。男たちの矜恃が激突する感動のエンターテインメント長編!第145回直木賞受賞作。(作品紹介より)

 

 

半沢直樹の作者の直木賞受賞作

半沢直樹で有名な池井戸潤さんの直木賞受賞作。ドラマ化もされた超有名作品をいまさらながら初読みです。

 

とりあえず面白いです。痛快で極上なエンタメ作品です。前回紹介した湊かなえさんの『告白』とはベクトルが真逆ですが、どちらの作者さんも、最新版の「今好きな作家で打線を組んでみた。」を考えるとしたら、食い込んできそうな作家さんです。

 

今まで読まなかったことをちょっと後悔しました。

 

 

分かり易い構図

物語の核になるストーリーは下町の中小企業メーカーが持っている特許を大企業が金の力を盾に奪い取ろうという話。そこには、中小企業VS大企業、技術力VS資本力、夢VS現実、倫理VS法律、そして善VS悪などなど、比較的分かり易い対立構造があります。

 

この分かり易さが物語の魅力の一つで、読んでて安心して片方の陣営を応援できます。構図が分かり易いので結末ももちろん分かり易く、どういう結果になるかは予想がつきます。ただ、そこまでに大企業の悪どさをこれでもかと見せ付けられているので、どんでん返しが起きたときの痛快さはすごいものがあります。私はスカッとしたどんでん返しが起きたとき、思わず鳥肌が立ってしまいました。

 

 

複雑な人間模様

物語の構図は分かりやすいのですが、企業の内部の人間模様は複雑です。中小企業でも夢を追うことを否定する現実的な人間もいるし、大企業にも中小企業と協力して仕事しようとする人もいます。

 

物語の構図は分かりやすいのですが、登場人物はそれぞれ色々な考え方を持っていて、なかなか複雑な人間模様になっています。ただ、そんな複雑な人間模様が物語に深みとリアリティを与えてくれます。同じ会社にいるからって同じ考えであるわけがないですしね。

 

ただ、いくつか出てくる大企業の中の人間には、必ず大企業であることを傘にきたとんでもなく嫌な奴がいます。器の小さい小悪党のくせにずるがしこい知恵だけは働かせます。ちょっとステレオタイプかなと思いますが、こういった悪党がいることで中小企業側に思う存分肩入れできるともいえます。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

読みやすい文章、分かり易い構図、弱者が強者を倒すスカッ痛快な内容。しかも、下町の町工場が宇宙ロケットの開発に携わる夢のある話でもあります。

 

今まで読まなかったことをちょっと後悔する稀有な作品ってことで、おすすめ度は星四つです。

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