おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『きみはポラリス』 三浦しをん シリアスより

   

書評的な読書感想文175

『きみはポラリス』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

三浦しをん(作家別索引

新潮文庫 2011年3月

恋愛 人間ドラマ(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

恋愛短編集。シリアスな作品が多く、勝手にコミカルなものを期待していたので、ちょっと肩透かしでした。ただ、時々ハッとする表現があり、印象に残る短編もありました。各話に自分お題がついているのも面白いです。

 

 

あらすじ

どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だと分かるのだろう。三角関係、同性愛、片想い、禁断の愛…言葉でいくら定義しても、この地球上にどれひとつとして同じ関係性はない。けれど、人は生まれながらにして、恋を恋だと知っている――。誰かをとても大切に思うとき放たれる、ただひとつの特別な光。カタチに囚われずその光を見出し、感情の宇宙を限りなく広げる、最強の恋愛小説集。(作品紹介より)

 

 

シリアスよりの恋愛短編集

毎度おなじみ「今好きな作家で打線を組んでみた」で六番に入っている三浦しをんさんの恋愛短編集。エッセイはもちろんのこと、今まで読んだ『まほろ駅前多田便利軒』『星間商事株式会社社史編纂室』などの小説でも、必ずどこかにコミカルな雰囲気があったのでそういったものを期待して読んだところ、シリアスな短編が多くて少し戸惑いました。

 

どの話も平凡な恋愛ではなく、解説で中村うさぎさんが指摘しているように、各短編の登場人物がそれぞれ秘密を抱えているのでシリアスな雰囲気が強くなるのかなと思います。

 

 

ハッとする表現

正直、肩透かしを喰った気分ではありますが(勝手にコミカルなものを期待した私が悪いのですが)、いくつかハッとさせられる表現がありました。

なぜ女たちは、血のつながった男には深い寛容と信頼を見せ、他人である男には素っ気ないとも言える警戒を見せるのか?(P38)

これは、ある男性が妻にいだいた感想。

また、ある女性の幼稚園の時に初恋について、

言葉で明確に定義できるものでも、形としてこれがそうだと示せるものでもないのに、ひとは生まれながらにして恋を恋だと知っている。(P82)

と言わせています。他にもまだまだありますが、三浦さんの観察というか考察の深さがわかる表現があって、ハッとさせられます。

 

 

お気に入りの短編

一番気に入った作品は、「春太の毎日」。この作品以前紹介した『最後の恋』というアンソロジーの中にも載っていた作品で、ちょっとした仕掛けがが物語の肝になるのですが、初めからそのネタがばれている状態で読んでも十分に楽しめました。

 

ネタバレしているからこそ気付くこともあったりして、面白かったです。

 

もう一つは「森を歩く」という作品。主人公は結婚を嫌でも意識させられる年齢になった女性。同棲してはいる彼氏は定職にもつかず、ふらりとアマゾンやヒマラヤに出かけてしまうような男。

 

結婚や人生設計についてあれこれ考え始めて、彼氏との関係も考え直したあげくの主人公の結論が個人的には好きです。たぶん、私が期待した三浦さんの作品のイメージに近い作品です。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

本文の後ろに各短編の初出と、それぞれの話の「お題」が書かれています。「お題」はアンソロジーなどで与えられたテーマや自分で決めたテーマのことで、全ての短編にそれぞれ違った「お題」がついています。必ず最初に本文を全て読んでから(でないとネタバレではないけど面白さ半減)、後で「お題」を確かめてみると色々面白いです。意外な「お題」がついているのが多いのですが、言われてみると納得です。

 

短編を全て読み終わって、シリアスな話や重い話もありましたが、比較的軽やかな読後感でした。ちょっと期待していたものとは違いましたが、色々な恋愛模様が面白かったってことで、星三つです。

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