おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『果断 隠蔽捜査2』 今野敏 前作とあわせ技で

   

書評的な読書感想文173

『果断 隠蔽捜査2』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆☆(星数別索引&説明

今野敏(作家別索引

新潮文庫 2010年2月

サスペンス 警察(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

前作とセットでかなり面白い。竜崎が現場に出るとどうなるか?ワクワクしながら読みましたが、期待を裏切らない竜崎節。また、臨場感のある事件のシーンや事件の謎などエンタメ要素が前作より強いのも良いです。

 

 

あらすじ

長男の不祥事により所轄へ左遷された竜崎伸也警視長は、着任早々、立てこもり事件に直面する。容疑者は拳銃を所持。事態の打開策をめぐり、現場に派遣されたSITとSATが対立する。異例ながら、彼は自ら指揮を執った。そして、この事案は解決したはずだったが――。警視庁第二方面大森署署長・竜崎の新たな闘いが始まる。山本周五郎賞・日本推理作家協会賞に輝く、本格警察小説。(作品紹介より)

 

 

『隠蔽捜査』シリーズ第二弾

以前紹介した『隠蔽捜査』シリーズの第二弾です。

 

第二弾の今作から読んでももちろん楽しめますが、前作の『隠蔽捜査』を先に読むことを強くおすすめします。主人公の竜崎のキャラクターが物語の見所のひとつですが、第一弾から読むと竜崎の魅力がより際立ちます。また、警察のキャリア官僚だった竜崎が、左遷されるも現場で生き生きと仕事をする流れも第一弾から読んでないと見えてきません。

 

前作があってこその、今作の最高評価星五つだと思うので、第一弾の『隠蔽捜査』を先に読むのをおすすめします。

 

 

相変わらずの竜崎節

警察官は税金から給料をもらっているので、納税者のために働くのが当然という意見に対し

「納税は憲法に定められた国民の義務です。(中略)納税者のために働けというのなら、私たちは高額納税者により多くのサービスをしなければならなくなります」(P42)

キャリア官僚の能力については

書類を読む速さには自信があった。(中略)

東大法学部卒は伊達ではないのだ。キャリア官僚の書類処理能力が今より数パーセント落ちるだけで、省庁の仕事はパンクしてしまうだろう。(中略)

受験で脱落する程度の者に、キャリア官僚の激務は務まらない。(P181)

前作の紹介でも書きましたが、主人公の竜崎は一見悪い意味のステレオタイプのキャリア官僚のように見えます。ただ、実際は合理的で原理原則を貫きながら、キャリア官僚としての責任を全うしようとする、今までのないようなタイプの主人公で自然に応援したくなります。

 

 

SITとSATの対立

周囲の親しい人たちに変人と呼ばれる主人公の竜崎が、左遷され大森署の署長に赴任します。前作を読んだ私としては、あの竜崎が現場でどう振舞うのかワクワクしながら読み進めました。

 

上にも書いたように、案の定、竜崎節は炸裂しますし、大森署の署員たちには驚かれたり反発されたりします。そんな中で、ある立てこもり事件が起き、ひょんなことから竜崎が現場の指揮を執ることになります。

 

立てこもり事件なので、職能は似ているが、所属する部署が異なるSITとSATが派遣され現場で対立することに。小説の題材として、SITとSATのように警察の部署間の対立が描かれることは割りによくありますが、竜崎が間に入るとこうまとまるのかと驚きながら読むことが出来ました。

 

竜崎としては、ただ当たり前に職務を全うしているだけですが、いつの間にやら反発されたり、逆に味方が増えていたりして楽しめました。竜崎の変人キャラは現場でこそ生きます。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

前作の見所を

 

「警察小説ですが、刑事が出てきて事件を解決したりはしません。キャリア官僚として警察庁内の思惑を調整したり、見極めたりしながら、マスコミと腹の探りあいなどを行うところが見所であり、面白いところです。」

 

と書きましたが、今作では、緊張感のある事件現場の様子だったり、解決したはずの事件に裏があるミステリー的要素が見所になっていて、前作以上にエンタメ性が強くなっていて楽しく読めました。そこに、竜崎のキャラクターの魅力が加わる今作は、文句なしの最高評価の星五つです。

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