おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

*

『赤・黒(ルージュノワール)』 石田衣良 サルとキングが活躍

   

書評的な読書感想文168

『赤・黒(ルージュノワール) 池袋ウエストゲートパーク外伝』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

石田衣良(作家別索引

徳間文庫 2004年2月

サスペンス ハードボイルド(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

池袋ウエストゲートパークの外伝。本編とは違い長編なので、事件の真相究明とギャンブル勝負と山場が二つあり、読み応え十分です。主人公のお人好しなところがマコトに似ているので、外伝なのかなと思いました。

 

 

あらすじ

一時間で一億円の大博打。映像ディレクター小峰が誘われたのは、池袋最大のカジノ売上金強奪の狂言強盗。ところが、その金を横取りされた。どん底から這い上がる男たち……。逆転の確率は二分の一。赤か黒。人生の全てをその一瞬に賭ける!(作品紹介より)

 

 

IWGP外伝

毎度お馴染み「今好きな作家で打線を組んでみた」で一番に入っている石田衣良さんの作品。今回の作品は以前に紹介した、石田さんのデビュー作で出世作の『池袋ウエストゲートパーク』シリーズの外伝です。

 

外伝なので池袋が舞台で、サルが準主役として活躍したりキングも出てきます。ただ、『池袋ウエストゲートパーク』を「池袋の裏と表の狭間」の物語と紹介しましたが、今作は完全に池袋のアンダーグラウンドが舞台になってます。冒頭から、主人公が裏カジノの売り上げを狂言強盗で掠め取ろうとします。

 

 

長編の読み応え

今作の特徴の一つに長編ということが上げられます。本編が基本的に四つの短編からなるのに対し、今回は300ページ以上の大ボリュームです。したがって、主人公たちが仕掛けた狂言強盗で手に入れた金が横取りされた真相を、主人公とサルのコンビが追いかけるハードボイルドのパートと、主人公が一発逆転を狙ってギャンブル勝負をするサスペンスパートの二つの山場があります。

 

本編には無いしっかりとした読み応え、長編ならではの複雑な筋や人間関係、二つの印象の異なる山場、このあたりが本編は無い今作の魅力といえます。

 

 

言葉センスがIWGP

「どんな組織でもその場の状況より、そいつ個人の力が上ならなんの心配もない。組織なんて鉄棒といっしょさ。ぶらさがってりゃ、苦しくてたまらない。でも一度踏ん張って、鉄棒をまたいじまえば、あとは座っているだけでいい。別に尻の肉は疲れないだろ」(P84)

上のセリフはサルが行ったセリフなのですが、このセリフなんか『池袋ウエストゲートパーク』っぽいなと個人的には思いました。

 

別に諦めているわけではないけど、ちょっとシビアに世の中のことを見てるなと。そんな言葉のセンスはやっぱりIWGPかと。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

この話を読み終わって思ったことは、主人公の小峰のお人好し名ところがマコトに似ているから外伝なのかなってことです。

 

30過ぎの映像デレクターで、ギャンブル狂の借金持ちの主人公ですが、

「ふん。あんたなかなかおもしろいよ。おれの知りあいにひとり、あんたみたいなガキがいる。マコトっていうだが」(P66)

 

「やっぱあんたはカタギだな。本物のやくざなら、死にかけた病人のまえでだって、亭主は人殺しだと騒ぐもんだ。甘ったるいけど、俺はそういうの嫌いじゃないぜ」(P204)

なんて、コンビを組んだサルにもいわれている通り、何となくマコトに似雰囲気があります。

 

なので、主人公は違いますが、『池袋ウエストゲートパーク』ファンは必見かなと。ただ、狂言強盗の意外な結末や、スリリングなギャンブル勝負など、ハードボイルド&クライム小説として本編を知らなくても十分面白いってことで、おすすめ度は星四つです。

よろしかったらクリックお願いします。

 

 - ☆☆☆☆ , ,