おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『恋文の技術』 森見登美彦 方法的おっぱい懐疑

   

書評的な読書感想文160

『恋文の技術』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

森見登美彦(作家別索引

ポプラ文庫 2011年4月

恋愛 青春(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

全編書簡体の小説。森見さんの小説らしいアホな主人公が、色々な人たちに書き散らした手紙から、しょうもないエピソードの真相が浮かび上がって来るのが楽しい作品です。「方法的おっぱい懐疑」ってなんだよ。
 

 

 

あらすじ

京都の大学院から、遠く離れた実験所に飛ばされた男が一人。無聊を慰めるべく、文通修業と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。文中で友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れるが、本当に想いを届けたい相手への手紙は、いつまでも書けずにいるのだった。(作品紹介より)

 

 

書簡体小説

毎度おなじみ「今好きな作家で打線を組んでみた。」で五番に入っている森見登美彦さんの作品です。

 

物語は全編書簡体で書かれています。その中の大部分は主人公の守田一郎が友人や妹に出した手紙です。主人公は、京都の大学院から地方の研究所に飛ばされ、寂しさを紛らわせるべく、友人たちに手紙を書きまくるという設定です。文通修行と称して手紙を書きまくり、最終的には「文通で女性を籠絡する奥義(P102)」恋文の技術を身につけ、意中の女性に恋文を書こうとする物語です。

 

ただ、友人や妹、家庭教師のアルバイトの元教え子とは楽しく文通をすることができるのに、意中の女性には中々手紙を出すことができずにいたりします。

 

 

アホな主人公と愉快な仲間たち

主人公の守田一郎はお調子者の割りに肝心なところは弱気な大学院の一年生です。森見さんの小説の主人公らしくちょっとアホなところがあって、愉快な仲間たちとちょっとおバカな事件を起したりしますが、その内容がいろいろな人に書いた手紙に断片的に載っていて、読み進めるうちに徐々にしょうもないエピソードの真相が分かってきたりします。

 

後輩に恋した主人公の友人マシマロマン・小松崎。ちょっとおませな元教え子・間宮君。私史上最高厄介なお姉様・大塚緋沙子。なぜか実名で登場、作家・森見登美彦など個性的な文通相手のキャラクターも強力で、恋愛相談や研究用のパソコンの奪い合いなど面白エピソードをにぎやかに彩ります。

 

 

「方法的おっぱい懐疑」

後輩に恋した、主人公の友人の小松崎。どうにもその後輩のおっぱいが気になる小松崎に、主人公の守田がアドバイスしたのがこの「方法的おっぱい懐疑」。

今そこにあるおっぱいの存在をひたすら疑うことによって、目前のおっぱいが抽象的存在となるまで己を追いつめ、おっぱいの呪縛から自由になるという手法だ。だが、君も返信に書いていたとおり、この手法には致命的欠陥があった。見つめれば見つめるほどその可愛さは増すばかりとうことが判明したのだ。存在が揺らがないのである。(P136)

アホですね。で、存在が揺らがないおっぱいをどうにかして揺らがせようと二人は工夫を凝らすのですが、それがまたしょうもない事件に発展しますが、それはさすがにネタバレになるので読んで確かめてください。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

森見登美彦が作中に登場したり、以前紹介した『夜は短し歩けよ乙女』や『ペンギン・ハイウェイ』ほうふつとさせるシーンが出てきたりと、森見登美彦ファンはかなり楽しめる作品だと思います。

 

一方で森見登美彦さん初読みには向かない気がしますし(初読みするなら『夜は短し歩けよ乙女』がおすすめ)、森見登美彦さんが苦手な方なら読まないほうが無難な気がします。

 

ただ、個人的には森見さんの作品の中で『夜は短し歩けよ乙女』の次に面白作品かなって思うので、おすすめ度は星四つです。

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