おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『ブルーマーダー』 誉田哲也 姫川再生の物語

   

書評的な読書感想文159

『ブルーマーダー』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

誉田哲也(作家別索引

光文社文庫 2015年6月

サスペンス 警察(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

姫川再生の物語。今回の事件で過去に決着をつけ、後の姫川班再結成に繋がる話です。内容的には四人の登場人物が、クライマックスで交差するのが見所です。あと、ガンテツが生き生きしていてます。久々にグロいです。

 

 

あらすじ

池袋の繁華街。雑居ビルの空き室で、全身二十カ所近くを骨折した暴力団組長の死体が見つかった。さらに半グレ集団のOBと不良中国人が同じ手口で殺害される。池袋署の形事・姫川玲子は、裏社会を恐怖で支配する怪物の存在に気づく――。圧倒的な戦闘力で夜の街を震撼させる連続殺人鬼の正体とその目的とは?超弩級のスリルと興奮!大ヒットシリーズ第六弾。(作品紹介より)

 

 

姫川シリーズ第六弾

以前紹介した『ストロベリーナイト』、『ソウルケイジ』、『シンメトリー』、『インビジブルレイン』『感染遊戯』とシリーズ化している、姫川玲子を主人公とした刑事小説の続編です。

 

今回は『インビジブルレイン』で捜査一課の姫川班が解散したあと、池袋署での刑事・姫川の物語です。時系列としては『インビジブルレイン』で姫川班解散。今回の『ブルーマーダー』、姫川が捜査一課に復帰している『感染遊戯』という順番になります。

 

シリーズ第六弾ですし、上のようにいろいろ事情があるので、今までの作品は読んでからでないと楽しめないでしょう。

 

 

姫川再生の物語

感染遊戯』の紹介のときの私はこう書きました。

 

『インビジブルレイン』で解体された捜査一課姫川班ですが、今作(『感染遊戯』)はその二年半後の物語になってます。その時点で、姫川は捜査一課に復帰しているようです。元部下が久々に姫川に会った印象をこう述べています

一種の明るさというか、以前は見られなかった強さというようなものを、いま目の前にいる姫川からは感じる。だがそれがいいことなのか悪いことなのかは、葉山には分からない。女性を庇護の対象と見るタイプの男性には、ひょっとしたら魅力が半減したように感じられるかもしれない。ただ、彼女を自立した一人の人間として見れば、その輝きは増したようにも映る。(『感染遊戯』P208)

何があったのでしょう。すでに発売されている次回作(『ブルーマーダー』)には、おそらくその辺のことも書いてあると思うので期待です。

 

ずばり、葉山が指摘している「以前は見られなかった強さというようなもの」を今作『ブルーマーダー』で身につけています。そういった意味では今作は、姫川班解散後の再生の物語と言えます。『インビジブルレイン』の牧田のことや菊田のことにも決着をつけ、姫川が一皮向けます。

 

 

四人の視点

物語は四人の視点でつむがれます。一つ目は主人公・姫川。20ヶ所以上の骨折をした暴力団組長の殺人事件を追いかけます。二つ目が下井刑事。『インビジブルレイン』で姫川とコンビを組んだ刑事で、今は、昔のとある事件を独自に追っています。三つ目が菊田。今は、ある逃走犯の行方を追っています。最後四つ目が、犯人の一味です。

 

ほぼ平行で交わることの無い四つの視点が、クライマックスで事件の全容が明らかにされる時、一気に交わるのがこの物語の見所といえます。

 

また、この四つの視点の一つだけにちょっとした仕掛けが施されており、それが物語をよりドラマチックにしています。

 

 

ガンテツ最高

今作でも『感染遊戯』などで活躍したガンテツが登場します。相変わらず好き勝手していて楽しそうですし、姫川の突っ込みも切れています。印象に残った部分を引用します。

「(管理人註:ある警察幹部の台詞。ガンテツが行った)その発砲自体が合法だったのか否か、甚だ疑問だが」

「それを合法にするためにも、俺が調べるって言ってんだよ。……じゃあ、仮に違法だったとして、それを喜ぶ奴がどこにいる。少なくとも警視庁にはいない。不祥事なんざ穿り返したって、誰の得にもなりゃしねえんだ」

まったく。この男の正義の軸足というのは、一体どこに置かれているのだか。(P298)

最後の部分が姫川の心情なのですが、一応ガンテツも正義を持って行動していると認めているあたりが、ちょっと好きです。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

とりあえず今回、血が噴出すスプラッタ的なグロさではありませんが、骨がバッキバキに折れたりとこのシリーズでは久々にグロい描写があります。苦手な人は注意です。

 

今作はシリーズのターニングポイントになる作品ではありますが、内容的には『ストロベリーナイト』や『ソウルケイジ』のインパクトには及ばないのでおすすめ度は星三つです。

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