おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『GO』 金城一紀 在日の恋

   

書評的な読書感想文156

『GO』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

金城一紀(作家別索引

講談社文庫 2003年3月(ブログで使っている画像は角川文庫の新装版です)

恋愛 青春(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

在日韓国人の高校生が主人公の恋愛青春物語。爽快なドライブ感のある小説なので、国籍や差別などのテーマと扱っても重くなりすぎないのが良いです。一昔前の話ですが、私の知らない在日の実態が分かりました。

 

 

あらすじ

僕は何者?日本で生まれ、日本で育ったけれど、僕は《在日》と呼ばれる。元ボクサーのオヤジに鍛えられ、これまで喧嘩二十三戦無敗。ある日僕は恋に落ちた。彼女はムチャクチャ可愛らしい《日本人》だった――。軽快なテンポとさわやかな筆致で差別や国境を一蹴する、感動の青春恋愛小説。直木賞受賞作。(作品紹介より)

 

 

直木賞受賞作の爽やかな青春小説

ちょっと不良な男子高校生の主人公が恋をして、友情を育んだり、将来について考えたりと、ありがちかもしれませんが、爽やかでドライブ感のある青春小説です。

 

テンポの良い文章で、テンポ良く話が進むので読みやすいのですが、主人公の葛藤もしっかり描かれている出来の良い青春恋愛小説です。直木賞受賞もうなずけます。

 

 

在日朝鮮人から在日韓国人へ

主人公が在日韓国人であるという要素を引くと上のような感想になりますが、やっぱりこの物語のテーマは「在日」に対する差別や国籍問題かなって思います。

 

正直、この手の話に無知な私は、在日朝鮮人と在日韓国人の違いも分かっていませんでした。物語では、主人公一家が(表向きの理由としては)ハワイに行くために、在日朝鮮人から在日韓国人に国籍を変える話など、ちょっと衝撃でした。

 

日本で差別を受けることがあるのは知っていましたが、朝鮮や韓国と在日の人達の微妙な関係などもはじめて知りました。初出が15年以上前で、物語の中の年代はさらにその昔であることを考えると、いま実態をどの程度描いているかは分かりませんが、いろいろ興味深い内容です。

 

 

理屈と差別

作中で主人公が、DNAや血統、国籍やルーツなど自分とその環境にまつわる事柄について考察していて、差別や偏見が合理的でないことが書かれています。ただ、ある人物の

「杉原の言っていること、理屈では分かるんだけど、どうしてもダメなの。なんだか恐いのよ……」(P190)

という考え方も、理屈に合わない不合理なことだとは分かるのですが、正直、私は共感してしまう部分もあります。たぶん恐怖の根源は未知のことに対する恐怖なので、しっかりと理解することが大切なのかなって思ったりしました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

今の実態はどうなのだろうか。他の国の人達の状況はどうなんだろう。例えば、ハーフの人達は。などなど、いろいろと考えさせられる小説ですが、素直に青春恋愛小説としても楽しめるてことで、星三つです。

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