おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

*

『裏切りの日日』 逢坂剛 百舌シリーズエピソード0

   

書評的な読書感想文151

『裏切りの日日』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

逢坂剛(作家別索引

集英社文庫 1986年7月

警察 ミステリー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

ハードボイルドでミステリー。犯人が消えるトリックで驚かされる上に、別のさらなる驚きがあって面白かったです。犯人の動機にちょっと納得できなかったりもしますが、このまま百舌シリーズに突入したいと思います。

 

 

あらすじ

人質を楯に、身代金を奪った犯人は、厳重な包囲の中で、ビルの9階からエレベーターに乗り込んだが、1階についた時には消えていた!その頃、近くのマンションで、右翼の大物が何者かに射殺された。“2つの事件は関連するものなのか?”居合わせた警視庁公安刑事・桂田の暗い瞳が光った。彼は、2年前に妻子に逃げられ、それ以後、人が変わったといわれる。その凄腕に更に磨きがかかり……。(作品紹介より)

 

 

ハードボイルドな前半

物語は公安警察の刑事が主人公です。公安警察とは、テロリストや極左暴力組織、右翼団体などを対象に調査し、主に国家体制を脅かす事案に対応するための組織です。

 

主人公たちは、脅迫されている右翼の大物の身辺の調査をしたり、過激派による企業の爆破事件を防ぐため、大手企業を巡回警備したりしています。前半では、公安警察の仕事ぶりが描かれていて興味深く、また、主人公の桂田の凄腕だが屈折している性格が明らかにされます。

 

今ではちょっと考えられない違法な取調べがあったりと、なかなかハードボイルドな展開ですが、合間合間に語られる主人公のエピソードに感情移入させられました。

 

 

ミステリーな後半

後半では、主人公の桂田と部下の浅見が企業の巡回している時に立てこもり事件が起きます。人質を取ってビルの最上階に立てこもった犯人は、身代金と逃走用のタクシーを要求します。

 

金を受け取った犯人はエレベーターでビルの一階に下りてきますが、途中で忽然と消えてしまいます。また同じ頃、少し離れた場所で右翼の大物が射殺されます。

 

犯人はどうやって消えたのか?

犯人は何故金を置いていったのか?

射殺事件と関連は?

 

犯人が消えたトリックも驚きですが、何故犯人は金を置いていったかなど、芋ずる式に出てくる謎が明らかになるにつれ、物語全体の大きな謎が解明され驚かされます。

 

ハードボイルドの作品ではミステリーは少し単純なことがよくありますが、この作品の場合、ハードボイルドとミステリーがしっかり両立しています。

 

ただ、犯人がなぜ悪に手を染めるようになったか、動機がやや弱いというか、釈然としないところがありました。ネタバレになるので詳しくはいえませんが、悪に手を染めるきっかけになるには、ちょっとエピソードが弱かったです。そのくらいじゃ、道を踏み外さないのではと思ったりしました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

この作品は、ドラマで有名な「百舌」シリーズの前日譚といえるようです。今回ミステリーとハードボイルドの融合をしっかり楽しめたのと、あまりなじみの無い「公安警察」が題材にされているシリーズが興味深いので、引き続き「百舌」シリーズは読んでいこうと思いました。

 

なので、今後の期待を込めて、おすすめ度はきびし目の星三つです。

よろしかったらクリックお願いします。

 

 - ☆☆☆ , ,