おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『遠い海から来たCOO』 景山民夫 賛否両論

   

書評的な読書感想文147

『遠い海から来たCOO』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

景山民夫(作家別索引

角川文庫 1992年3月

ファンタジー SF(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

前半の主人公親子が、首長竜の子どもを育てる描写が感動的。南国の孤島の美しい風景やイルカとの交流など舞台設定も完璧です。また、後半のアクションシーンも、前半で感情移入しているので、緊張感がありました。

 

 

あらすじ

小畑洋介、12歳。海洋生物学者の父、徹郎とフィジー諸島のパゴパゴ島に移り住んで3年になる。洋助はある朝、通学の途中、珊瑚礁の潮だまりにひとつの生命を発見した。“奇跡”との出会いだった。それは6,000万年以上も昔に死に絶えたはずのプレシオザウルスの生まれたばかりの姿だったのである。しなやかな肢体と愛らしい黒い瞳を持ったその奇跡の生命は、洋助を見つめ、「COO」と歓喜の産声をあげた。こうして少年と幼い恐竜クーとのきらめく至福の日々がはじまった。だが平和は長くは続かなかった。第99回直木賞にかがやく、感動の冒険ファンタジー、待望の文庫化。(作品紹介より)

 

 

感動の前半

瀕死の母プレシオザウルスが命をかけて子を産み落とすプロローグ。フィジーの美しい自然の中でのびのびと育つ主人公の洋助。イルカのカップルとの交流も微笑ましい第1章。そして、プレシオザウルスの赤ちゃんと洋助の出会い。戸惑いながらも、母親代わりを買ってでる洋助の様子は頼もしい限りの第2章。悪戦苦闘しながらも何とか子育てをする主人公親子、徐々にですが確実に成長するクーが描かれている第3章。

 

プレシオザウルスの出産シーンや、洋助とクーの出会いのシーンは感動的です。フィジーの自然や洋助と兄弟のようなイルカたちとの交流など南国の孤島という舞台設定も完璧です。また、洋助とその父・徹郎が悪戦苦闘しながらクーを育てているのを目の当たりにすることで、読者もクーを育てている気持ちになってしまいます。私は、ここでがっつり感情移入してしまいました。

 

この前半部分だけで十分読む価値あります。

 

 

ハラハラドキドキの後半

後半は、とある国の特殊部隊が登場することで、話の様相が百八十度変わってしまいます。

 

特殊部隊はクーの住んでいる島に突然現れ、主人公親子からクーを強引に奪おうとします。この時のアクション映画さながらの戦闘シーンは、前半で感情移入しているので、かなりハラハラドキドキできました。

 

また、特殊部隊がクーを奪おうとする背景には、作品が書かれた頃の現実の国際事情も絡む、ある秘密が隠されています。物語が進むにつれてその秘密が明らかにされ、サスペンス的なドキドキ感も得られます。

 

 

賛否両論直木賞受賞作品

今回の作品は直木賞受賞作品ですが、受賞に際してかなり賛否両論あったようです。あとがきを書いている直木賞の選考委員の田辺聖子によれは、前半と後半で分かれてしまっていること、後半の政治的対応にリアリティがないことが批判の内容だそうです。

 

批判に関しては、私は確かにその通りだと思いました。前半の誌的な部分がすごく感動的なので、後半をなくして前半の文章のままクーの巣立ちを描いても良かったのかなとは思いました。

 

ただ、前半があるからこそ、後半でハラハラドキドキできるし、ラストシーンの感動があるのかなとも思います。エンターテイメントとしては、後半があることで物足りなさを感じず、満足感のある読後感を得られるではないかと思いました。

 

後半の存在の賛否はご自身で読んで決めて欲しいかなって思います。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

直木賞云々はともかくとして、感動的な前半とハラハラドキドキなアクションシーンがふんだんな後半と一冊で二度楽しい作品って事で、おすすめ度は星四つです。

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