おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『あい 永遠に在り』 高田郁 関寛斎の妻

   

書評的な読書感想文146

『あい 永遠に在り』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

高田郁(作家別索引

ハルキ文庫 2015年2月

時代 人間ドラマ(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

実在の人物、関寛斎の妻・あいが主人公。壮絶で高潔な人生を歩む寛斎を支える、あいの姿が感動的です。しかも、この時代には珍しく芯のある女性なのが良いです。脇役の濱口梧陵もすごい人です。朝ドラで見てみたい。

 

あらすじ

上総の貧しい農村に生まれたあいは、糸紡ぎの上手な愛らしい少女だった。十八歳になったあいは、運命の糸に導かれるようにして、ひとりの男と結ばれる。男の名は、関寛斎。苦労の末に医師となった寛斎は、戊辰戦争で多くの命を救い、栄達を約束される。しかし、彼は立身出世には目もくれず、患者の為に医療の堤となって生きたいと願う。あいはそんな夫を誰よりもよく理解し、寄り添い、支え抜く。やがて二人は一大決心のもと北海道開拓の道へと踏み出すが……。幕末から明治へと激動の時代を生きた夫婦の生涯を通じて、愛すること、生きることの意味を問う感動の物語。(作品紹介より)

 

 

関寛斎

主人公・あいの夫が関寛斎です。関寛斎とは幕末から明治にかけて活躍した医者で、生まれは千葉の人。長崎留学などを経て、徳島藩の典医になります。そして、戊辰戦争の時、東北の戦時病院の責任者になり敵味方無く治療します。その功績が認められ、明治政府の医療関係の要職に望まれますが、徳島に帰ります。

 

その後、徳島で町医者として貧しい人々の治療に尽力し、「関大明神」とあがめられます。そして、72歳にして全財産をなげうって北海道開拓に挑戦し、広大な牧場を開きます。ただ、最後は開拓した土地の扱いなどで家族と争い82歳で服毒自殺します。

 

貧しい人からは治療代を取らずに、金持ちからは高い治療代を取ったり、無料で天然痘の予防接種をしたこと、晩年から北海道開拓に参加し、開拓した土地を小作農に解放しようとしたことなどその人生は、壮絶で高潔です。

 

さまざまな人が伝記を書いたり、物語にしていますが、司馬遼太郎さんは『胡蝶の夢』の中で寛斎のことを「高貴な単純さは神に近い」と評してます。

 

 

あい

今作の主人公で関寛斎の妻です。徳富蘆花や司馬遼太郎などさまざまな人が著作にしている関寛斎ですが、高田郁さんは妻・あいにスポットを当ててます。

 

上にも書きましたが、かなり高潔な人物であった分、凡人の私から見たら変人に見えてしまう関寛斎を支えるあいの姿は感動的です。貧しい生活を機織で支えたり、頑固な寛斎と家族を取り持ったりします。また、当時の人には(私のイメージだけかもしれませんが)珍しく、ただ単に言いなりで従順なだけではない女性に描かれています。人の援助を受けて長崎に留学するのを良しとしない寛斎を説得して、留学させたりしています。

 

やさしく前向きですが、強い芯がある女性でそのイメージは高田さんの代表作『みをつくし料理帖』シリーズの澪の印象に重なります。

 

 

濱口梧陵

今回の作品で関夫妻とならび物語の重要人物が濱口梧陵という人物です。この人も実在の人物で、現在のヤマサ醤油の七代目当主で寛斎の長崎留学を援助します。

 

実はこの人もかなりの有名な人で、大きな地震があったときに、藁の山に火をつけ目印にして、村人を無事に高台に非難させました。この史実から『稲むらの火』という物語が小泉八雲によって作られました。

 

物語のなかでは梧陵は寛斎に

「人たる者の本分は、眼前にあらずして、永遠に在り」(P180)

という言葉を送っていて、それがサブタイトルになっています。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

「高貴な単純さは神に近い」とまで評される寛斎。正直、私には理解できない部分もあり、頑固な変人というイメージすら持ちましたが、それを支えるあいとの夫婦の絆は感動的で、NHKの朝ドラとかで見てみたいかなって思いました、ってことで星四つです。

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