おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『ばけもの好む中将参』 瀬川貴次 宝石箱や~

   

書評的な読書感想文140

『ばけもの好む中将参 天狗の神隠し』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

瀬川貴次(作家別索引

集英社文庫 2014年10月

時代 ミステリー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

序盤の小さな話が帝を巻き込む騒動に発展する展開力と軽く読みやすい文章で、一気に読んでしまいました。相変わらず小ネタは楽しく、伏線や仕掛けも驚かされます。本当の悪役が見えてきたので次回作にも期待です。

 

 

あらすじ

容姿端麗で完璧な貴公子だが、怪異を愛する変人中将・宣能。彼に気に入られてしまった平凡な中流貴族の青年・宗孝は、中将とともに怪奇現象を追うことに。秋のある日、尼である宗孝の姉が山中で「踊る茸の精」を見たと聞いた二人は、紅葉見物も兼ねて現地を訪れることにする。この「茸の精」が、帝の妃たちまで巻き込む一大騒動の前触れになるとは、知るよしもなく――。平安怪奇冒険譚、第3弾!(作品紹介より)

 

 

『ばけもの好む中将』シリーズ第三弾

以前紹介した『ばけもの好む中将』、『ばけもの好む中将弐』の続編でシリーズ第三弾になります。内容的にはつながりが薄いのですが、キャラクターの紹介は第一弾が詳しいので順番に読んだほうが無難かもしれません。

 

毎回書いてますが、タイトルに「ばけもの好む」とあり、舞台は平安時代ですが、もののけも陰陽師も出てきません。ただ、もののけの成り立ちなどは『日本書紀』を引用して説明するなど、学術的にもしっかりとした説が展開されてたりします。サブタイトルに「天狗の神隠し」とあるように天狗が出てくるのですが、天狗にまつわるいろいろな説が書かれていて、例えば、鴉天狗の意外な正体の話は素直に感心しました。

 

 

驚きの展開の軽快な文章

今回の物語の発端は、夜中に寝ていると、身の丈五寸(約15cm)ほどの木こりが踊りながら枕元に表れるということから始まります。そんな話が、最後には帝を巻き込む騒動に発展してしまいます。

 

読みやすく軽快なテンポの文章に乗って、物語はどんどん展開していき、山奥の尼寺で始まった物語は帝が行幸した右大臣邸でクライマックスを迎えます。

 

どっしりとした読み味はありませんが、この展開力と読みやすい文章で、最初から最後まで一気に読んでしまいました。

 

 

今回も小ネタが楽しい

美味しいご飯を食べて

「おお、本当だとも。この香り、歯ごたえ。噛めば噛むほど旨味があふれ出てくる。口中が茸の大饗宴だわい」(P13)

なに麻呂か?

(宰相の中将さま……、おそろしいかた……)(P178)

なんの仮面?

 

まあ、こういうのは人それぞれ好き嫌いはあるでしょうが、私は好きです。すごく。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

前作の『ばけもの好む中将弐』のまとめでも書きましたが、平安時代といえば、恋愛と権力闘争だと思います。物語の中に権力闘争の兆しが見えてきたと、前作のまとめで言いましたが、今作でも「兆し」止まりで本格的な争いはありませんでした。

 

ただ、とある人物がラスボス感を出してきたり、怪しげな新キャラの存在がほのめかされたりと、次回作にも期待ってことで星三つです。

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