おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『フォー・ディア・ライフ』 柴田よしき 相性がいい。

   

書評的な読書感想文137

『フォー・ディア・ライフ』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

柴田よしき(作家別索引

講談社文庫 2001年10月

ハードボイルド ミステリー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

作者と相性がいいのかすごく読みやすく楽しめました。シリーズを追いかけようと即決。内容的にはお人好しすぎる主人公にやきもきしますが、魅力的なサブキャラたちが突っ込んでくれるので、ストレス無く読めました。

 

 

あらすじ

新宿二丁目で無認可だが最高にあったかい保育園を営む男・花咲慎一郎、通称ハナちゃん。慢性的に資金不足な園のため金になるヤバイ仕事も引き受ける探偵業も兼ねている。ガキを助け、家出娘を探すうちに巻きこまれた事件の真相は、あまりにも切なかった……。稀代のストーリーテラーが描く極上の探偵物語。(作品紹介より)

 

 

アンソロジー経由

以前紹介した『小説こちら葛飾区亀有公園前派出所』、『最後の恋』で気になっていた、柴田よしきさんの作品です。『最後の恋』の紹介のときのも書いて、今回、確信しましたが私は柴田よしきさんと相性が良いです。

 

まず、初めに思ったことはとても読みやすいこと。会話文が多いのですが、テンポがよく、誰がしゃべっているか分かりにくくなることも無く、スムーズに読めます。地の文も癖が無く読みやすいです。

 

 

サブキャラの突っ込みに共感

何より相性がいいなと思ったところは、登場人物の感情に共感できるところです。特に、サブチャラたちの主人公に対す突っ込み。

 

主人公の花咲は新宿で無認可保育園を経営してます。夜の街で働くシングルマザーや外国人たちの子供を格安で預かっているため、慢性的な資金不足にあえいでます。そこで、元刑事の強みを生かして探偵として資金を稼ごうとします。

 

この花咲が、絵に描いたようなお人よし。ちょっと怪しげな女性の子どもを預かれば、案の定、迎えに来なくなったり、探偵の顧客に同情して、深入りしすぎたりします。読んでいてやきもきするというか、イライラしそうになります。

 

そんな時に、サブキャラたちが主人公にいいタイミングで突っ込みを入れてくれます。だらしない母親の子どもを預かってもてあまし気味と時には

「はっきり言うけど、この子はにこにこ園にいるべきじゃない。この子の幸せを本当に考えるなら、福祉施設に入所させるべきよ」(中略)

「この国は福祉劣国よ、制度の隙間からぼろぼろこぼれた子供の人権なんて、法律は守ってくれやしない。だからその中のひとりでもふたりでも救ってあげたいって理想は素晴らしい。でもね、この子みたいに、もはやにこにこ園がしてあげられる許容範囲を超えている境遇の子の場合、にこにこ園やあなたが手を伸ばすことがかえって、この子の本当の幸福を遠ざけてるんだって考えることも出来るんじゃない?」(P317)

と、結構痛烈に突っ込みますが、タイミングにしろ、ちょっと乱暴な言い方にしろ、すごく共感できました。たぶん、作者と完成が近いので共感しやすく、相性が良いってことだと思いました。

 

 

探偵物としてはちょっとご都合主義過ぎるか?

物語の本筋は、花咲が探偵として依頼を受けた二つの人さがしがメインです。あちこちに聞き込みをし、徐々に真相に近づくにつれ意外な結末がまってます。

 

ただ、この結末がちょっとご都合主義過ぎるというか、きれいにまとまりすぎている気がしました。さすがに都合の良い偶然過ぎるかなと。次回作以降は、もうちょっとリアリティーがあるといいなと思いました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

読み終えて、シリーズを追いかけようと即決しました。お人よしの主人公にやきもきはしますが、上で書いたようにサブキャラが突っ込んでくれるのと、終盤で「命がけなら偽善だってそれなりにたいしたもんじゃないか。なあ。」(P484)と主人公が言っているのが気に入りました。

 

主人公の「偽善」の行く末を今後も見守るってことで、星四つです。

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