おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『京都寺町三条のホームズ』 望月麻衣 あふれる京都感

   

書評的な読書感想文128

『京都寺町三条のホームズ』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

望月麻衣(作家別索引

双葉文庫 2015年4月

ラノベ ミステリー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

京都+骨董品のライトミステリー。わりと真っ向から京都していて、私は好きです。ただ、骨董品の話と登場人物の心情にはもっと踏み込んで、話を膨らましても良いかなと思いました。次回作も読みます。

 

 

あらすじ

京都の寺町三条商店街にポツリとたたずむ、骨董品店『蔵』。女子高生の真城葵はひょんなことから、そこの店主の息子、家頭清貴と知り合い、アルバイトを始めることになる。清貴は、物腰は柔らかいが恐ろしく勘が鋭く、『寺町のホームズ』と呼ばれていた。葵は清貴とともに、客から持ち込まれる、骨董品にまつわる様々な依頼を受けるが──古都を舞台にした、傑作ライトミステリー!(作品紹介より)

 

 

京都+骨董品のライトミステリー

以前紹介した『ビブリア古書堂の事件手帖』に代表される、キャラクターミステリーです。特徴は、京都を舞台にした、骨董品にまつわるミステリーであることと、探偵が男性であることでしょうか。

 

京都を舞台にした小説は『鴨川ホルモー』、『夜は短し歩けよ乙女』、『珈琲店タレーランの事件簿』など、このブログでもたくさん紹介してますが、どの作品も京都が舞台になっていますが、京都を取りあげているわけではありません。

 

一方で今作はけっこう真っ向から京都を(観光地的な意味で)取りあげていて、個人的には楽しめました。作者が北海道出身でわりと最近京都に移住したそうで、その辺が京都を観光地的な意味で取り上げている理由かもしれません。

 

ちなみに今回作品の中で取りあげているのは、仁和寺の「御室桜」、下鴨神社の「葵祭」、知恩院の「手作り市」、貴船の「川床」などです。どれも有名な観光スポットや行事ですが、観光ガイドよりも突っ込んだ紹介をしていて感心しました。例えば「葵祭」の主役である斎王代の選考基準やかかる費用の話はちょっと衝撃的です。先日行ったばかりですが京都に行きたくなりました。

 

京都という土地柄と骨董品の親和性も高いところも、作品に説得力を持たせています。

 

 

短編がゆえに消化不良も

物語は序章と五つの短編から構成されます。キャラクターミステリーらしく主人公の語り手と探偵のコンビが活躍する形式ですが、短編であるがゆえに消化不良なところも。

 

例えば、「葵祭」の主役・斎王代に選ばれた老舗呉服店の娘とその母、妹の間の葛藤。骨董品鑑定の才能を持った主人公と、才能がなかったその父親の嫉妬。もっと登場人物の心情に踏み込んで描けば、いろいろ話が膨らんで面白くなりそうなのですが、あっさりと流してしまっている気がします。その分、読みやすくなってますが。できれば、このシリーズで長編も読みたいなと思いました。

 

骨董品についても、もう少し詳しく描いてもいいのかなって思いました。これも、次回以降に期待です。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

個人的には京都について真っ向から取りあげているだけで十分楽しめましたが、短編ゆえの物足りなさはだいぶ感じました。ただ、登場人物の葛藤や対立など、面白くなる要素はあちこちに見られたので、次回作以降のシリーズも追いかけたいなと思います。

 

今回は、将来に期待をこめてチョイ甘め目の星三つです。

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