おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『金融腐蝕列島 上下』 高杉良 お金が軽い

   

書評的な読書感想文125

『金融腐蝕列島 上下』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

高杉良(作家別索引

角川文庫 1997年12月

経済 お仕事(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

バブル崩壊前後の銀行の腐敗が描かれおり、上層部、総会屋など銀行を食い物にしようとする連中が、えげつないです。また、当時の社会情勢や金融政策を書いた説明パートは正直退屈ですが、勉強になりました。

 

 

あらすじ

大手都銀・協立銀行の竹中治夫は、突然、本社総務部への異動を命じられる。通称“渉外班”──総会屋対策を担当するポストである。上層部からの特命を帯びた竹中は、心ならずも不正融資に手を貸してしまう。組織と個人の狭間で葛藤しながらも、人事権を掌握しているワンマン会長のスキャンダル隠しに加担せざるをえなかった竹中は、会長側近のやり手秘書役と駆け引きし、元大物総会屋や企業舎弟じみた人物との交渉に奔走する。今日の銀行が直面する問題に鋭いメスを入れ、日本中を揺るがせた話題作。(上巻作品紹介より)

 

 

物語パートと説明パート

物語は大きく分けて二つのパートに分かれています。銀行マンとして普通の良心を持った主人公・竹中が銀行を私物化する上司や総会屋、スキャンダルをネタに融資を引き出そうとするヤクザまがいの人物たちと対峙する、「物語パート」。

 

もう一つは、当時の社会情勢や金融政策を説明する「説明パート」です。物語はバブル崩壊直後から始まっており、不良債権の処理の問題や自民党政権崩壊から細川内閣誕生、阪神大震災などの出来事を事実に基づいて説明し、物語パートの理解を深めるのに役立ちます。

 

 

銀行を食い物にする連中がえげつない

主人公の竹中は銀行の中間管理職の地位におり、まともな良心を持っている読者と地続きの人物です。その、竹中が作中で対峙する、銀行を食い物にする連中がえげつないです。

 

まず、最初に出てくるのが銀行を私物化するワンマン会長とその子飼いの秘書役。会長をスキャンダルから守るためなら、平気で不正融資を行います。これ以外には、取締役のスキャンダルをネタにゆさぶりをかけてる総会屋や、会長の娘をたらしこむことで融資を得ようとするヤクザまがいの男など。

 

こうした人物たちと、主人公・竹中の対決が物語の見所ですが、サラリーマンの辛いところで心ならずも不正に手を貸してしまうこともあります。ただ、何とかぎりぎりを立ち回り、どうにか勝利のようなものを勝ち取ることもあります。勧善懲悪、すっきり勝利とならないほうが多いのですが、その分リアリティーがあります。

 

 

説明パート

当時の社会情勢などを説明する説明パートは、正直退屈なところも多いです。ただ、当時の内閣成立の裏話など事実に基づいた話は、作品の時代に小学生の高学年から、中学生だった私は、当時を思い出しつつ、へえと感心することもたくさんありました。

 

住専問題を処理する際の、銀行と農林中央金庫との攻防などは、政治的な問題を絡めて分かりやすく説明してあり、すごく勉強になりました。退屈な所は読み飛ばしてもいいと思いますが、がんばって読むといろんな意味で楽しめました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

作中の年代が、昭和末期から平成の初期までの話なので、ちょっと古いです。また、再三書いてますが、説明パートは興味がないとちょっと退屈でエンターテイメント性が低いです。

 

ただ、そういったマイナス点を差し引いても、竹中と銀行を食い物にする連中との手に汗にぎる対峙は、とても楽しめるので、おすすめ度は星四つです。

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