おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『食堂かたつむり』 小川糸 経営が心配

   

書評的な読書感想文121

『食堂かたつむり』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

小川糸(作家別索引

ポプラ文庫 2010年1月

料理 家族(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

突っ込みどころ満載なのはファンタジーだと思って乗り越えられれば、ほっこり感動できる話です。賛否はかなり分かれそうな話ですが、命をいただくといってテーマは迫るものがありました。

 

 

あらすじ

同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、倫子はさらに声をも失う。山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな食堂を始める。それは、一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂だった。巻末に番外編収録。(作品紹介より)

 

 

突っ込み所は満載です

同棲していたインド人の恋人に、家財道具いっさいを持ち逃げされた女性が、山間の実家で食堂を開く話です。失恋を乗り越え、唯一の家族である「おかん」との関係を見つめなおす人間ドラマですが、まあ、突っ込みどころが多いです。

 

個人的に気になったのは食堂の経営状態。貯金を含め全てを持ち逃げされたので、母親から借金をする主人公。

開店資金は、おかんが、消費者金融並みの高い利息をつけて貸してくれることになった。(P36)

とありますが、誠心誠意調理するため、一日一組しか客を取らないのに、消費者金融並みの利息を払えるとは思えません。材料のロスも多そうですし。単価がものすごく高いのかといえば、高校生が客としてきていたりもします。

 

主人公がその人を見ただけで、飲みたい飲み物がわかる能力があったり、食堂で食事をすると願いかなったりと、かなりファンタジーな設定もあったりするので、その辺を割り切れない人は、読まないほうがいいかもしれません。

 

この辺の突っ込みどころやファンタジーな設定を乗り越えられれば、食堂のお客さんの願いがかなってほっこりしたり、主人公の成長と親子の和解の物語として感動できるでしょう。私はちょっとほろりと来ました。

 

 

命をいただく

物語のテーマの一つとして、命をいただくとはどういことかが描かれています。ちょっとネタバレになるかもしれませんが、素材が食卓に上がるまでを最初から描いています。

 

まず、スプラッタ的なのが苦手な人は読まないほうがいいでしょう。個人的には、平気だったのですが、やはり胸に迫るものがありました。賛否ありそうな描写ですが、教育の一巻として学校でニワトリなどの解体をしてもいいのではないかなとも思いました。今の時代厳しそうですが。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

リアリティーの点には目をつぶって、ふわふわしたファンタジー的な人間ドラマとして楽しむ分には面白いのですが、そこに、いきなり命をいただく重さを突きつけられるなど、ちょっとアンバランスな感じがします。肝心の料理もあまり美味しそうではありませんでした。

 

ただ、個人的にはファンタジーも命の重さも別々に楽しめたってことで、星三つです。

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