おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『三匹のおっさん』 有川浩 ジジイと呼ぶな。おっさんと呼べ

   

書評的な読書感想文110

『三匹のおっさん』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

有川浩(作家別索引

講談社文庫 2015年9月

人間ドラマ 友情(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

現代が舞台ですが、時代劇のオマージュだけあって勧善懲悪的な安心感があります。また、三匹のキャラクターがしっかり立っていてるのと、事件の真相を推理する楽しみもあり最後まで一気に読んでしまいました。

 

 

あらすじ

「俺たちのことはジジイと呼ぶな。おっさんと呼べ」。還暦を迎えた、かつての悪ガキ三人組、剣道の達人キヨ、武闘派の柔道家シゲ、危ない頭脳派ノリが、町内の私設自警団を結成。ゆすり・たかりに悪徳詐欺、卑劣な動物虐待に極悪な痴漢……ご近所に潜む悪を、愛とパワーで斬る!胸がすく痛快活劇小説、第一弾。(作品紹介より)

 

 

四番の理由

「今好きな作家で打線を組んでみた。」で堂々四番の有川浩さんの作品。有川さんの代表作といえば、以前紹介した『図書館戦争』シリーズだと思います。また、これ以外にも『阪急電車』など、わりと甘めの恋愛物で面白い作品が多いです。

 

ただ、今挙げた二つの作品だけだったら、有川さんを四番にすることはなかったと思います。今回の『三匹のおっさん』は再読なのですが、初めて読んだときに甘い話じゃないのも面白いのに驚かされました。甘い恋愛物とそうでない物と両方面白いということで、四番にしました。

 

 

『三匹の侍』

三匹の侍(wikipedia)』とは60年代に放送された大ヒット時代劇で、三匹の凄腕浪人が庶民を苦しめる権力や悪人と戦うドラマです。

 

タイトルと内容から『三匹のおっさん』はこの作品のオマージュです。『おっさん』のほうは舞台を現代にし、浪人の変わりに還暦を過ぎてやや暇をもてあましているおっさんが主人公になっています。

 

タイトルや設定だけでなく時代劇のすぐれたスタイルであるチャンバラと勧善懲悪も受け継いでいて、いい意味で先が読めて、安心して楽しめるつくりになっています。

 

 

三匹のキャラクター

「俺も一応赤いちゃんちゃんこは着たけどよ。だからってまだジジイの箱に蹴っぽり込まれたくはねえなぁと思ってよ」(P33)

そんな理由で勝手に私設自警団を結成した三匹のおっさん。この三人が良いキャラしてます。

 

主人公のキヨは剣道の達人で三人のリーダー的存在。地元のゼネコンを定年退職し、今はアミューズメントパークに嘱託として勤めています。基本的には穏やかですが、だらしない息子夫婦に鉄拳を見舞し、はむかう悪人たちは竹刀でたたき伏せます。

 

武道派の柔道家のシゲは居酒屋を経営してますが、今では息子夫婦に店を任せることが多くなっています。三人の中では一番喧嘩っ早くて、悪人たちもがんがん投げ飛ばします。

 

危ない頭脳派のノリは、個人的にはこの作品一番の魅力的なキャラです。作戦立案や渉外交渉的なものを引き受けて、体型も小柄で一見荒事は苦手そうです。けれど、自作の改造スタンガンを使い悪人を懲らしめる、三人の中で実は一番危険なキャラです。

 

三人組の物語としてはわりあいベタなキャラ設定かも知れませんが、三人が個性を生かして物語の中で活躍しています。

 

 

地域限定正義の味方

三人が活躍する事件は、ゆすり・たかりに悪徳詐欺、卑劣な動物虐待に極悪な痴漢と、どれも身近に起きる問題です。事件はミステリーと呼ぶほど大げさではありませんが、最後にちょっと意外な真相が隠れていたりもします。なので、どういった真相が隠れているか推理しながら飽きずに読むことが出来ます。

 

また、基本的には悪人が最後には懲らしめられるパターンなのですが、微妙に白黒はっきりしない結末もあって、単純な勧善懲悪よいも深みがあります。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

今好きな作家で打線を組んでみた。」で有川さんが四番に入ることになった決め手になった作品。作中に甘い話がまったくないわけではないのですが、基本的にはアラ還のおっさんが活躍する話です。続編があるのですが、絶対に読むって事で、星四つです。

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