おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』 万城目学 猫と犬の夫婦

   

書評的な読書感想文106

『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

万城目学(作家別索引

角川文庫 2013年1月

ファンタジー 家族(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

小一の女の子と猫が主人公のファンタジー。猫の目から見た人間世界がおかしかったり、女の子の素直さが微笑ましかったりしているうちに、ラストの展開で泣かされます。種族を越えた愛情で温かい気持ちになります。

 

あらすじ

かのこちゃんは小学1年生の女の子。玄三郎はかのこちゃんの家の年老いた柴犬。マドレーヌ夫人は外国語を話せるアカトラの猫。ゲリラ豪雨が襲ったある日、玄三郎の犬小屋にマドレーヌ夫人が逃げこんできて……。元気なかのこちゃんの活躍、気高いマドレーヌ夫人の冒険、この世の不思議、うれしい出会い、いつか訪れる別れ。誰もが通り過ぎた日々が、キラキラした輝きとともに蘇り、やがて静かな余韻が心の奥底に染みわたる。(作品紹介より)

 

 

かのこちゃん

物語の主人公の一人は、小学一年生の女の子、かのこちゃんです。

かのこちゃんは、難しい言葉でかつ変な響きを持つものが好きだった。たとえば、「やおら」とか「とかく」とかいった言葉が好きだった。でも、「すこぶる」とか「やにわに」とかいった言葉は嫌いだった。(P25)

かのこちゃんは、元気でやさしくて素直な女の子です。猫や犬が人間の言葉を理解しているのも信じて疑っていません。大人から見るとわけのわからない、本人からしたらいたってまじめなこだわり、なんかももっています。でも、こんなこだわりって誰でも小学生の頃は持っていたなって、懐かしく思ってしまいます。

 

こんな女の子が活躍する物語です。

 

 

マドレーヌ夫人

もう一人?の主人公、マドレーヌ夫人は気高い性格の雌の猫です。近所の猫達と空き地でおしゃべりしたり、犬の旦那さんの玄三郎とのんびりしたりしています。本来はしゃべれないはずの犬と猫ですが、マドレーヌ夫人と玄三郎だけは話をすることができます。

 

猫の目線から見た人間世界がなかなか面白いです。

「(管理人註:猫仲間のセリフ)ひとつ話を聞いておくれ、マドレーヌ夫人。私、また新しい言葉を覚えたんだ。知っているかい?猫舌って言葉。」

「ええ、知ってる」

「本当に愚かな言葉だよ。そんなもの猫に限らず、犬でも鼠でも、誰だって苦手さ。だいたい、食べる前にわざわざ食事を加熱するのは、世の中で人間だけじゃないか。生き物の舌は、そもそも熱いものをなめるようには出来ていない。それなのに猫舌だってさ。まったく呆れちゃうね」(P8)

いやいや、おっしゃるとおりです。

 

 

ほんわかあたたかく、泣けます

元気でやさしくて素直な女の子。気高く澄ましてるけど、情に篤いマドレーヌ夫人。その旦那さんの犬の玄三郎。この設定だけで、ほんわかあたたかい物語になりそうだとわかります。実際にそうなります。

 

ただ、中盤以降、マドレーヌ夫人の冒険があったりと、ハラハラした展開もあります。そうこうしているちにラストは種族を超えた愛情にちょっとしんみりします。私は電車のなかで読んでいたのですが、涙をグッとこらえる必要がありました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

今好きな作家で打線を組んでみた。」で三番に入っている万城目学さんの作品。『鴨川ホルモー』、『プリンセス・トヨトミ』といった作品のような壮大なホラ話ではなく、こじんまりとしたファンタジーになってます。

 

ただ、随所にある万城目ワールドはクスリと笑えます。その上で、ほんわかしてちょっと泣ける、という今までとは違ったテイストですが、面白さは他の二つにも負けないって事で、星四つです。

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