おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』 森鴎外 迫られる選択

   

書評的な読書感想文105

『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明)(ブログで使っている画像などは新装版ものです)

森鴎外(作家別索引

レーベル 1967年2月

純文学 人間ドラマ(ジャンル別索引

 

おすすめポイントを百文字で

「山椒大夫」、「高瀬舟」など極限状態の人間の様子が真に迫ります。そして、淡々とした文章からにじみ出る人間の激情が読み取れます。ただ、人名や役職が羅列されているだけの、かなり退屈なところも結構あります。

 

あらすじ

人間開放の問題を扱い、我を空しくして運命のままに生きる人間像を、あわれ深く描く「山椒大夫」。殉死を許されなった封建武士の運命とモラルを中心に描く「阿部一族」。他に「興津弥五右衛門の遺書」「佐橋甚五郎」「魚玄機」「じいさんばあさん」「最後の一句」「高瀬舟」「高瀬舟縁起」「寒山拾得」「寒山拾得縁起」を収める。(作品紹介より)

 

 

「山椒大夫」「高瀬舟」

平安時代の末ころ、旅の途中で人買いにさらわれた姉弟が、山椒大夫のもとで奴隷として働かされます。何とか脱出しようとして姉が選んだ選択は、、、、。「山椒大夫」。

 

兄弟で貧しいながらも何とか暮らしていたが、ある日、弟が病にかかり働くことができなくなる。弟が下した決断は、、、。「高瀬舟」。

 

どちらの話も極限の状態で選択を迫られる兄弟の話です。わりと淡々と事実だけ述べられているので、どうしてそう知った行動に出たのか心情を考える必要があったりもしますが、行間からにじみ出る登場人物の激情は心に来るものがあります。

 

「じいさんばあさん」

個人的に一番気に入った作品です。部隊は江戸時代。ある日、武士の屋敷の片隅に隠居所が立てられました。すると、まずはじいさんは住み始め、しばらくするとばあさんが同居し始めました。

この翁媼二人の中のいいこと無類である。近所のものは、もしあれが若い男女であったら、どうも平気で見ていることができまいなどと言った。中には、あれは夫婦ではあるまい、兄妹だろうというものもあった。その理由とするところを聞けば、あの二人は隔てのない中に礼儀があって、夫婦にしては、少し遠慮をし過ぎているようだというのであった。(P133)

このあと、ちょっと謎めいているこの年寄りの男女の正体が描かれるのですが、意外な理由で上の様な状態になっているミステリー的な驚きと、人間ドラマ的な感動が動じ味わえます。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

書かれた時代が古くて単純に読みにくいだけでなく、人名や役職の羅列で退屈なこともあります。ただ、そういったところは飛ばしつつ読み進めると、封建制度が生きていた時代の生と死の狭間の人間の真実が見えてきます。正直ちょっと読むのはしんどいけど、がんばって読む価値はるかなってことで星三つです。

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