おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『ビブリア古書堂の事件手帖6』 三上延 中ボス撃破

   

書評的な読書感想文104

『ビブリア古書堂の事件手帖6~栞子さんと巡るさだめ~』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

三上延(作家別索引

メディアワークス文庫 2014年12月

ラノベ ミステリー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

テーマは太宰治と栞子たちの血筋。太宰は嫌いですが読んでみたくなりました。本筋は人間関係が複雑なのが難ですが、今回を踏まえて、次回、栞子親子がどう対決するか楽しみです。あと、糖分高めで栞子さんが可愛い。

 

 

あらすじ

太宰治の『晩年』を奪うため、美しき女店主に危害を加えた青年。ビブリア古書堂の二人の前に、彼が再び現れる。今度は依頼者として。違う『晩年』を捜しているという奇妙な依頼。署名ではないのに、太宰自筆と分かる珍しい書きこみがあるらしい。本を追ううちに、二人は驚くべき事実に辿り着く。四十七年前にあった太宰の稀覯本を巡る盗難事件。それには二人の祖父母が関わっていた。過去を再現するかのような奇妙な巡り合わせ。深い謎の先に待つのは偶然か必然か?(作品紹介より)

 

 

ビブリアシリーズ第六弾

毎度おなじみ「今好きな作家で打線を組んでみた」で投手陣の先発にいる三上延さんの作品。以前紹介した『ビブリア古書堂の事件手帖』、『ビブリア古書堂の事件手帖2』、『ビブリア古書堂の事件手帖3』、『ビブリア古書堂の事件手帖4』、『ビブリア古書堂の事件手帖5』の続編です。

 

さすがにここまでくると、シリーズの以前の作品を読んでいることが前提になってます。しかも、今回は最終章の序章的な位置づけなので、『1~5』まで読んでいないと楽しめません。

 

 

太宰治再び

『5』の最後に予告がありましたが、今回『1』で栞子のもっている太宰治の貴重な古書を奪おうとして、栞子に怪我を負わせた田中敏雄が再び登場します。当然テーマはそのときと同じ太宰治です。今回は長編になっていて、丸々一冊太宰です。太宰治の署名はないのに太宰の直筆と分かる珍しい本を探す話になってます。

 

作中でヒロインの栞子が太宰の愛読者で以下のように語っています。

「今でも『晩年』の愛読者は多いです。わたしもそうですね。太宰の荒れた私生活は嫌いですけど、人としての弱さには共感できるんです……ちょっと、矛盾しているかもしれません」(P57)

 

「国民的作家ですが、好き嫌いははっきり分かれますね。弱さや疎外感を抱えた主人公の独白というスタイルが多いですし、作品をなぞるような私生活を送っていたせいでしょう。軟弱とか女々しいといった批評に晒されてきました……若い頃はいいけど、大人が愛読するのは恥ずかしいというような」(中略)

「批判がまったく間違いとは言いませんが、ただそれだけの作家が時代を超えてここまで愛されるはずがないと思います。表面的な部分に囚われてしまうと、太宰の作家としての大きさを見誤ると思うんです……」(P63)

私は、中学生のころに『人間失格』を読んで、ものすごく暗い気持ちになって記憶があります。そのときに、太宰治は二度と読まないと誓って以来、まったく読まなかったのですが、今回この作品を読んでちょっと読んでみようかなと思いました。

 

20年以上経って、たぶん私もちょっとは大人になってますしね。

 

 

もう一つのテーマは血のつながり

今まであまり語られてこなかった栞子の祖父が出てきたり、五浦の祖父が『1』以来もう一度、スポットを当てられたりと、血のつながりが取り上げられる話になってます。

 

それ以外にも血縁関係がいくつも出てきて、さらに友人関係も複雑に絡み合い、正直混乱します。最終章に向けていろいろ回収しつつも、ミステリーを進めていくために仕方ないのかもしれませんが、相関図でものせて欲しいものです。

 

今回判明した新たな事実を踏まえると、栞子は過去の血筋から開放されないと救いはないのかなと思いました。どうも、いろいろな人物が血筋に囚われているの話だったので、そう思いました。そのために、母親と対決して乗り越えるのかなと勝手に予想してます。

 

 

糖分高めでいい感じです

今回の話は、栞子が大怪我をした事件ともかかわってる話なので、全体的に緊張感の高い展開が多いのですが、その分合間のエピソードが糖分高めの甘い展開です。

「(管理人註:栞子と五浦が付き合い始めたという話をしていて)もう本題に入っていると思っていたが、さっきと同じ話題が続いている。栞子さんがすがるような涙目で俺を見上げていた。だいぶ追い詰められている。あと可愛い。」(P231)

うん、爆ぜろ。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

次回はいよいよ母親と直接対決だと思われます。個人的に一番気になるのは、母親がどんな古書を追って家を飛び出したかということです。今回の冒頭で母親が聖書を読んでいる描写があることと、栞子の父方の祖父が敬虔なクリスチャンであること判明したので、探しているのは『聖書』かなとも思いました。

 

『聖書』ならば、生涯をかけて探す価値のある貴重なものもあると思うのですが。今までの傾向だと、近代の日本人作家の作品が多いのでその線もありそうなんですが。

 

とにかく、次回への期待は高まっているのですが、今作はちょっと人間関係が複雑すぎて、必要な情報まで頭に入りにくいって事で、ちょっと辛めの評価で星三つです。

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