おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『プリンセス・トヨトミ』 万城目学 国家規模のホラ話

   

書評的な読書感想文101

『プリンセス・トヨトミ』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆☆(星数別索引&説明

万城目学(作家別索引

文春文庫 2011年4月

ファンタジー サスペンス(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

歴史的で国家規模のホラ話。私は好きです、こういう話。歴史的事実や大阪人の気質が生かされてた大阪のある秘密は、読んでいてワクワクしました。リアリティーはともかく、長い文章ですが最後まで勢いで読めました。

 

 

あらすじ

このことは誰も知らない――四百年の長きにわたる歴史の封印を解いたのは、東京から来た会計検査院の調査官三人と大阪下町育ちの少年少女だった。秘密の扉が開くとき、大阪が全停止する!?万城目ワールド真骨頂、驚天動地のエンターテインメント、ついに始動。特別エッセイ「なんだ坂、こんな坂、ときどき大阪」も巻末収録。(作品紹介より)

 

 

万城目学作品№1

毎度おなじみ、「今好きな作家で打線を組んでみた」で三番に入っている万城目学さんの作品です。私が読んだ万城目さんの作品の中で一番面白いと思います。「今好きな作家で打線を組んでみた」で三番に入っているのも、この作品が影響が大きいです。エッセイや他の小説が面白いのも当然ありますが。

 

今回は、先日紹介した『檸檬』と同じく、関西方面に旅行に行くので、その気分を盛り上げるために再読しました。

 

 

大阪の秘密

物語は大阪のある社団法人に会計検査院の調査官が調査に入ることで始まります。会計検査院とは国の予算が適切に使われているかを調査する機関で、この社団法人にも国から助成金を受け取っているので、調査が入りました。

 

しかし、本来は3年から5年に一度は調査がなされなければいけないはずが、この「社団法人OJO」には35年も調査がなされていませんでした。今回の35年ぶりの調査をきっかけに、大阪全域に及ぶある秘密が明らかにされるというのがこの物語の概要です。

 

この大阪の秘密が、まあ大ホラ話で面白いです。歴史的に言えば、徳川家康が豊臣家を滅ぼした時から始まります。徳川家康は、豊臣家の痕跡を消すために秀吉が建てた大阪城を徹底的につぶし、その上に今の大阪城が建てられました。この史実が、物語でとても重要になります。

 

また、大阪城の話以外にも、東京駅や日本銀行本店を設計した辰野金吾の建築物が物語のキーになっていたりします。

 

このように、巧みに史実を織り交ぜて物語を膨らましているので、細かい部分のリアリティーはともかく、わくわくしながら読むことができました。

 

 

大阪人の気質

物語を成立させるのに欠かせないのが、大阪人の気質かなと私は思いました。お笑いの風土といったことではなくて、江戸・東京対する反骨精神みたいなものを持っているということです。大阪の風土にプライドを持っていて、簡単には東京のやり方には染まらない精神と言い換えることもできます。

 

その気質は豊臣家を家康に滅ぼされた時から始まるのですが、今回の物語でもそうした精神で一致団結しているからこそ、ある大阪の秘密が秘密として守られてるんじゃないかと思います。

 

 

怒涛の展開

550ページと結構なボリュームの物語ですが、前半では大阪の秘密が徐々に明らかにされ、わくわくしながら読むことができ、後半は物語が一気に進み大阪が全停止する怒涛の展開で、最後まで勢いが衰えることなく読めました。最終的には日本対大阪とも言える、国家規模の話になります。

 

何度も言いますが、ある意味ホラ話なので、細かいところをつつけばいくらでも矛盾点や無理なところは見つかりますが、虚実織り交ぜた、歴史的国家規模のホラ話は、私はすごく好きです。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

関西地区のそれぞれのいい気に根ざしたホラ話というのが、万城目学さんの初期の作品の特徴だと思います。以前紹介した『鴨川ホルモー』も京都の歴史や地域性なくしては成立しない物語だと思います。

 

今回の話は、その舞台・大阪の地域性や歴史をうまく使いながら、大規模で歴史的なわくわくするホラ話になっているので、最高評価星五つです。

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