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小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『容疑者Xの献身』 東野圭吾 祝100冊目

   

書評的な読書感想文100

『容疑者Xの献身』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

東野圭吾(作家別索引

文春文庫 2008年8月

ミステリー 人間ドラマ(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

『ガリレオ』シリーズだけでなく、東野圭吾さんの代表作。衝撃的なトリックはそれだけで充分面白いです。ただ、ちょっと壊れている犯人の性格や矛盾をはらんだ人間関係も見所です。賛否両論あるのも分かります。

 

 

あらすじ

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。(作品紹介より)

 

 

祝100冊目

記念すべき100冊目の感想はドラマで有名な『ガリレオ』シリーズのみならず、東野圭吾さんの代表作といえる『容疑者Xの献身』です。

 

この作品の見所は何といっても緻密で大胆なトリック。物語の冒頭で殺人が起きますが、その犯人は明らかになってます。犯人をかばうために天才数学者の石神が仕掛けたトリックをガリレオこと湯川が見破るのが物語の軸になります。

 

このトリックがすごいです。例えるなら、数十手先まで、分岐点を含めてすべて読みきった棋士ような頭脳を持つ石神が仕掛けた、鮮やかで美しいトリックだと思います(ネタバレを恐れるあまり物凄く抽象的ですが)。

 

直木賞の選考委員が「なぞ解きミステリーとしてのすばらしさだけでも受賞に値する、と考えた。」を言うだけある傑作ミステリーです。

 

 

矛盾をはらんだ人間関係

トリックの素晴らしさは間違いないので、これ以上語らないで別の切り口を。物語のキーマン天才数学者の石神に関しては、リアリティーがないなど批判もあるのですが、個人的にはちょっと壊れたところが好きです。

 

密かに思いを寄せていた隣人の靖子に対しては、殺人の隠蔽を主導するなど、強烈な愛情を示しますが、自首を勧めるでもない石神はやっぱりどこか壊れてるように思います。その思いは、最後まで読むとよりいっそう強くなりますが、どう強くなったかはネタバレになるので書かないことにします。

 

だがそう思った後、不意にいいようのない焦燥感のようなものが彼女の胸に広がった。

それはいつまでにことなのだ。いつまで、石神の目を盗まねばならないのか。それとも事件が時効にならないかぎり、永久に自分は他の男性と結ばれることはないのか――。(P139)

石神以外の男性と食事に行った後、「もう会わないほうが良い」と思った時の靖子の心情を表した文章です。

 

石神と靖子の関係にゆがみがあるのが分かります。靖子がちょっとわがままかなとも思いますし、石神の異常な愛情が怖いのも理解できます。

 

結局二人のゆがんだ関係は、驚きの形でトリックに利用されますが、登場人物の人間関係も見所だと思いました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

この作品結構賛否両論あるようです。賛はともかく、否の意見はミステリーに偏っていて、直木賞にはふさわしくないといったことや、謎解きに主眼を置く「本格ミステリ」ではないのではないかとった意見です。

 

個人的には、面白すぎるからこそ批判もあるのかなって思うので、賛否あることはこの作品のすごさを示していると思います。ってなわけで、おすすめ度は、星四つです。

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