おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

*

『向う端にすわった男』 東直己 入門編

   

書評的な読書感想文099

『向う端にすわった男』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

東直己(作家別索引

ハヤカワ文庫 1996年9月

ハードボイルド サスペンス(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

『探偵はバーにいる』シリーズの短編集。主人公がいい加減なのにお人好しで、ちょっと「もやっと」する結末が多いところを含めて、このシリーズらしさが出ていています。入門編としてちょうど良いかもしれません。

 

 

あらすじ

ある夜〈俺〉のところに、人物調査の依頼が舞い込んだ。ターゲットは、元一流商社マンの伊野田という男だという。〈俺〉は、札幌にメディア革命を起こすと息巻くこの男の企画会社にもぐり込み、さっそく調査を開始するが……夢を見続ける男にとっての“真実”を描いた中篇「調子のいい奴」ほか、カウンターの向う端にすわった謎の男との奇妙な顛末を描いた表題作など、全5篇を収録。札幌ススキノを舞台にした新感覚ハー ドボイルド短篇集。(作品紹介より)

 

 

『探偵はバーにいる』シリーズ第三弾

『探偵はバーにいる』と以前紹介した『バーにかかってきた電話』の続編で、シリーズ第三弾です。主人公は同じですが、内容的なつながりはほぼないので、この巻から呼んでも楽しめます。

 

むしろ、下にも書きますが、このシリーズの入門編としてあえてこの巻から読んでもいいでしょう。

 

 

いい加減でお人よし

静かな店が好きだ。ススキノで毎晩呑むようになって十年以上になるが、「静かなバーが似合う渋い酒呑みになりたい」というミエは、まだなくならない。この見栄が自然に消えたときが、きっと渋い酒呑みになれた時なのだろう。今の感じでは、死ぬまでこの見栄と連れ立っていくようだ。(P10)

主人公はいい加減で、お調子者の三枚目タイプです。以前『バーにかかってきた電話』を紹介してときも書きましたが、映像化の大泉洋さんははまり役だと思います。

 

そんな、主人公ですが、実はお人よしで、自分でも止めた方がいいとは分かっているのに事件に巻き込まれます。「調子のいい奴」では、分かっているのに胡散臭い実業家の胡散臭い話に付き合ったりします。

 

かっこよさには欠けますが魅力あふれた主人公像が今回の作品でも生きています。

 

 

「もやっと」する結末

今回、全部で五つの物語があります。軽い内容のものから、人の生き死にに拘わるような重い話もあります。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、必ずしもすっきりとした結末にはなりません。むしろ、勧善懲悪を否定した、「もやっと」する結末のほうが多いかもしれません。

 

ただ、そんなところもこの物語の魅力かなと思います。かっこいい男が、すっきりと事件を解決するだけが物語じゃないと思うので。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

ここでは紹介してない一作目を含めて、三作しかこのシリーズは読んでいませんが、らしい作品だと思いました。ちょっともやっとはするけど、人生ってそんなもんだよねって言える作品です。シリーズ未読の人が入門で読んでもいいと思うってとで、星三つです。

よろしかったらクリックお願いします。

 

 - ☆☆☆ , ,