おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

*

『浜村渚の計算ノート4さつめ』 青柳碧人 今回も名言あります

      2016/06/07

書評的な読書感想文097

『浜村渚の計算ノート4さつめ 方程式は歌声に乗って』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

青柳碧人(作家別索引

講談社文庫 2013年4月

ラノベ ミステリー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

相変わらず面白い問題が目白押しです。初心者向けから、最新の研究を基にしたものまで。また、今回は渚の友達のセチが活躍します。教育について良いこと言ってます。物語は新キャラ登場で、話が動きそうな予感。

 

 

あらすじ

テロ組織「黒い三角定規」が、いよいよ浜村渚に直接対決を挑んできた。渚と武藤龍之介をミュージカル劇場に招き寄せ、一次方程式を解けという。だが、その問題は普通のやり方では解けないうえに、「黒い三角定規」の驚くべき策略を示唆するヒントまで仕込まれていた!シリーズ第五弾、文庫書下ろしで登場。(作品紹介より)

 

 

浜村渚シリーズ4さつめだけど第五弾

浜村渚シリーズの第五弾です。

浜村渚の計算ノート』、『浜村渚の計算ノート2さつめ』、『浜村渚の計算ノート3さつめ』、『浜村渚の計算ノート3と½さつめ』の続編です。番外編の『3と½さつめ』をはさんでいるため、『4さつめ』なのに5巻になってます。

 

内容的には前作とあまりつながりが強くないのですが、今回ちょっと物語が動き始めるので、『1、2、3さつめ』は順番は何でもいいので、三冊とも読んでおくと、より楽しめると思います。『3と½さつめ』は読んでも、読まなくてもOK。

 

 

クイズ番組生まれの数学問題

今回も難しくて魅力的な数学の問題がたくさん出てくるこの物語。数学初心者でも挑戦できる問題から、最新の研究に基づいた問題まで、バラエティーに富んでいます。

 

その中で私が一番面白かった問題を紹介します。その問題、アメリカのクイズ番組で出題されたのがきっかけで、世界中の数学者を巻き込んで議論が起きたとか。どんな問題かというと、

 

赤、青、黄色のドアがあります。三つのドアのどれか一つに自動車が隠れています。正解のドアを当てることができたら自動車がもらえるという三択問題。

 

このままだと、単なる三択で正解する確率は三分の一です。ただ、今回はちょっと変わっています。

 

例えば、回答者が「赤」選ぶと、出題者は「青」ははずれと教えてくれます。そして、「赤」のままでもいいし、「黄色」に変更しても言いといいます。

 

さて、問題は回答者は「赤」にとどまるのか「黄色」に変えるのかどちらがいいでしょうか、という問題。

 

ちなみに、これ、どちらも二分の一ではありません。詳しい答えはこの作品を読むか「モンティ・ホール問題」で調べてください。この問題の何がすごい面白いかっていうと、数学初心者でも考えることができるのに、世界中の数学博士たちが間違えてしまうところです。作品の中ではもっと分かりやすく説明されてるので、ぜひ読んで欲しいですね。

 

 

最新の研究

数学初心者でも挑戦できる問題がある一方で、最新の研究に基づいた問題も出てきます。『浜村渚の計算ノート2さつめ』で書きましたが、作中で浜村渚が言及したルービックキューブの最小の手数について、本を刊行した直後に、最新の研究が発表されます。

 

また、『3と½さつめ』のなかで、作中の人物が「(フェルマーの最終定理について)ワイルズ先生より、もうちょっとシンプルな証明を見つけたんだ」と発言しますが、やはり刊行直後に、シンプルな証明方法につながる研究が発表されたそうです。

 

今回の作品の中でも、ある図形の問題に浜村渚が挑戦するのですが、ちょうど同時期に同じ問題の答えが数学者によって発見されたそうです。(詳しく説明するとネタバレになるので、本作とあとがきを読むとすごいことが分かります。)

 

タイミングはたまたまなのでしょうが、作者は初心者向けの問題から、最新研究まで目を配っている証拠だと思います。

 

 

セチも活躍

今回は渚のお友達のセチが活躍します。いつもは渚がすることが多い、犯人の説得のシーン?(渚自身は説得している自覚はないようですが)もセチがします。作者は塾の講師をしていたそうなんですが、私もかれこれ6年くらい塾の講師をやっていたことがあるので、今回のセチの説得はかなり心に刺さったので紹介します。

「大人たちってどうしてすぐ、教育を自分たちだけのものにしたがるの?」

「どうして、役に立つものと立たないものを、勝手に決めたがるの?」

「私たちだって、大人と一緒に未来を創りたいんだ!」

「……習ったことしかできない人が、未来を創れるの?」(P253、254)

ギクリとしました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

浜村渚が「黒い三角定規」に直接狙われたり、新キャラが登場したりと、物語が動き始めた今作品。問題も難易度のバランスもよく、渚やセチのキメ台詞もしっかり決まったって事で、星四つです。

よろしかったらクリックお願いします。

 

 - ☆☆☆☆ , ,