おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『あんじゅう』 宮部みゆき あんじゅうがかわいい

   

書評的な読書感想文095

『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

宮部みゆき(作家別索引

角川文庫 2013年6月

時代 ホラー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

江戸時代の怪異の話。前作とは違い、もののけも出てきます。人の怨念が起こす怪異の話は相変わらず壮絶てすが、もののけの話はほのぼの。「あんじゅう」とか、ちょっとかわいすぎるでしよ。ただ、ラストは切ない。

 

 

あらすじ

一度にひとりずつ、百物語の聞き集めを始めた三島屋伊兵衛の姪・おちか。ある事件を境に心を閉ざしていたおちかだったが、訪れる人々の不思議な話を聞くうちに、徐々にその心は溶け始めていた。ある日おちかは、深考塾の若先生・青野利一郎から「紫陽花屋敷」の話を聞く。それは、暗獣“くろすけ”にまつわる切ない物語であった。人を恋いながら人のそばでは生きられない“くろすけ”とは―― 。三島屋シリーズ第2弾!(作品紹介より)

 

 

三島屋変調百物語シリーズ

以前紹介した『おそろし』の続編です。シリーズものですが、基本的には連作短編形式の上、今作でも物語の成り立ちの説明等はあるので、こちらの作品から読んでも楽しめます。

 

ちなみに三島屋変調百物語とは、ある事件のせいで心を閉ざしてしまった主人公・おちかが、さまざまな人の怖くて不思議な話を聞くという話です。怪談話を聞くのは一回につき一つだけ。なので、一夜にして百個の怪談をする百物語の変調になります。今回は四つの怪異が語られます。

 

 

誰しもが持ってる感情だからこそ、恐ろしい

前作同様、人の心の奥底にある負の感情が積もりに積もって起きる怪異の話もあります。これまた前作同様、誰もが持っていそうな感情が積み重なることによって怪異が生まれるので、とても共感でき、だからこそ恐ろしく感じます。

「やっぱり姑というものはね、何かかんか、嫁が憎いんですよ」(P205)

 

こうなると、亡くなった姑の言葉は、ほとんど呪いである。(P210)

 

その抗弁は、おちかの耳には、(姑に負けてなるものか)と聞こえたけれど。(P270)

嫁と姑の間にどんな怪異が生まれたかは、読んで確かめてください。

 

 

今回はもののけも出ます

題名にもなっている「あんじゅう」とは「暗獣」で、真っ黒な塊のような獣のようなもののけです。とある御家人夫婦が家督を息子にゆずって、格安の借家で隠居生活をはじめるのですが、そこに住み着いていたのがもののけ「あんじゅう」です。

 

格安な理由は幽霊が出るという噂があったためですが、実際は幽霊は出ず、いたのは「あんじゅう」でした。はじめは見間違いかとも思っていた夫婦ですが、ちょっとしたきっかけでおっとり天然の奥さんが仲良くなったのをきっかけに、夫婦と「あんじゅう」の奇妙な共同生活がはじまります。

 

犬や猫ぐらいの賢さしかない「あんじゅう」ですが、奥さん歌った手鞠歌を覚えたりと徐々に二人になついていきます。しかし、あることがきっかけで「あんじゅう」の正体の一端が見えてくるところから、物語は動き出します。

 

「あんじゅう」が夫婦になつく様子がかわいらしく、どちらかというと頑固親父だった主の態度が変化するのも微笑ましいです。もう一つのもののけが出てくる話もそうなのですが、ほのぼのして心温まる話です。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

前作のような、人の怨念の話は妙に共感でき、そのためすごく怖く面白いのですが、それだけだとちょっと重くなりすぎます。そんなところを、もののけが出てくるほのぼのとした話が中和してくれます。前作と全く同じテイストだと、ちょっと読むのがしんどいなと思っていた人でも、ぜひ読んで欲しいかなと思ってことで、おすすめ度は星四つです。

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