おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『屍蘭』 大沢在昌 タイトルがおしゃれ

   

書評的な読書感想文093

『屍蘭 新宿鮫Ⅲ』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

大沢在昌(作家別索引

光文社文庫 1999年8月(ブログで使っている画像などは新装版のものです。)

ハードボイルド 警察(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

奇妙な殺人事件の真相が明らかになる前半と、主人公と犯人たちの攻防を描いた後半、一冊で二回スリリングです。犯人達の異常な絆や、呪いのような犯罪動機が、物語の肝なのですが私には理解できませんでした。恐い。

 

 

あらすじ

犯罪者たちから「新宿鮫」と恐れられる、新宿署刑事・鮫島。新宿の高級娼婦の元締め・浜倉が殺された。事件に迫る鮫島の前に浮かび上がる産婦人科医「釜石クリニック」。背後に潜む呪われた犯罪とは?だが、鮫島に突然、汚職・殺人の容疑が!さらに敵の完璧な罠が「新宿鮫」を追いつめる!息詰まる興奮、圧倒的な感動!超人気傑作シリーズ第3弾!(作品紹介より)

 

 

新宿鮫シリーズ第三弾

以前紹介した『新宿鮫』『毒猿』の続編で新宿鮫シリーズの第三弾です。物語の内容的なつながりはあまりないので、この作品から読んでも楽しめます。ただ、上司の桃井との関係が分かる第一弾の『新宿鮫』を先に読むとより楽しめると思います。

 

 

今回はアクション少なめ

今回の作品は第一弾のハードボイルドな作品とも、第二弾のアクション映画さながらの緊張感のある作品とも違うテイストです。

 

前半は高級娼婦の元締めが全身の血が固まって死亡するという奇妙な殺人事件の真相を主人公の鮫島が追う話です。鮫島と犯人側と交互に視点が変わることで、徐々に事件の全容が明らかになり、前の二作品にも劣らないスリリングな展開が楽しめます。

 

後半は、鮫島と犯人の攻防を描いています。鮫島が犯人にもう一歩まで迫ると、するりと真相が逃げていき、いつの間にか鮫島がピンチに陥ったりもします。

 

事件が明らかになる過程と、鮫島対犯人の対決と一冊で二回スリルが味わえる作品で、アクション的な派手さは全くないにもかかわらず、前に二作にも劣らない緊張感があります。

 

 

異常な絆と呪いの動機

上でも書きましたが、物語は鮫島と犯人の視点が交互に入れ替わりながら物語は進行します。犯人は主に、主犯と実行犯の二人が出てくるのですが、この二人が異常なほど強い絆で結ばれています。実行犯に対し鮫島は

威厳以上のもの、自分のしていることに対する絶対的な自信、(中略)神による保証とでもいうべき、宗教的な心の安定感を抱いているように見える。しかも、その安定感が、どこかいびつなのだ。本人は確固たる自信をもっているのだが、周囲から見ると、ひどく危うげで、細い糸一本で吊るされた床の上で大きく動き回っているかのようだ。(P274、275)

と評してます。

 

犯人二人には絶対の信頼感があるのですが、その源が不明ではたから見ると上のような印象を与えます。

 

また、主犯が一連の犯罪行為に手を染める動機が語られはしているのですが、それは呪いとか怨念といっていいような行動といえます。

 

犯人たちの異常な絆や呪いのような犯行動機が物語の肝になっているのですが、正直、私には最後まで理解できませんでした。ただ、物凄く恐いとだけ思いました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

全ての出来事を知ると(理解までいかなくても)、タイトルの『屍蘭』の意味が分かります。とてもおしゃれなタイトルだなと最後に思いました。

 

今回は心理戦、頭脳戦がメインです。前回、前々回のようにやくざも出ませんし、アクションもありません。逆に、ちょっとそういったのが苦手な人でも、今回は楽しめるかもしれません。ただ、テイストは違いますがクオリティーは決して下がっていないってことで、おすすめ度、星四つです。

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