おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『疾走』 重松清 孤立と孤独と孤高

   

書評的な読書感想文090

『疾走 上下』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

重松清(作家別索引

角川文庫 2005年5月

サスペンス 人間ドラマ(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

表紙だけでなく、内容も強烈なインパクトのある作品。タイトルだけでなく、読むスピードも疾走します。巻き込まれる形で過酷な運命を背負う少年の諦めと足掻きに心を打たれ、少年の幸せを願いました。

 

 

あらすじ

広大な干拓地と水平線が広がる町に暮す中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の四人家族だった。教会に顔を出しながら陸上に励むシュウジ。が、町に一大リゾートの開発計画が持ち上がり、優秀だったはずの兄が犯したある犯罪をきっかけに、シュウジ一家はたちまち苦難の道へと追い込まれる……。十五歳の少年が背負った苛烈な運命を描いて、各紙誌で絶賛された、奇跡の衝撃作、堂々の文庫化!(作品紹介より)

 

 

ジャケ買い

以前紹介した『夜は短し歩けよ乙女』と同じく、カバーの絵が気になって買った作品、いわゆるジャケ買いです。昔、好きで良く見ていた「心ゆさぶれ!先輩ROCKYOU」という加藤浩二さんが司会をしていたテレビの番組で、本の装丁のデザインをしている人の特集した際に紹介されていたのですが、それ以来、気になっていたのを遂に読んだしだいです。

 

単行本版の表紙がこちらなのですが、強烈なインパクトのあるデザインが印象的ですが、内容も負けずにインパクトのある作品で、タイトルのごとく読むスピードも疾走してしまいました。

 

 

 

過酷な運命

主人公の少年・シュウジは優秀な兄にコンプレックスはありますが、普通の少年でした。ただ、兄のシュウイチが高校で挫折し、ある犯罪を起こすことで、運命の歯車が狂いだします。

 

兄や両親など、周りの人間の行動に巻き込まれる形で、どんどん過酷な運命に追いやられるシュウジ。時に運命にあがらったり、時に諦めながらも懸命に生きようとします。

 

これでもか、これでもかと過酷で壮絶な運命を背負うシュウジも徐々に自分なりの生き方を見つけるのですが、その頃には私はすっかり感情移入していて何とか幸せになってもらいたいと思いました。

 

 

 

孤独と孤立と孤高

この物語のテーマは「人とつながる」ことなのですが、シュウジは誰かとつながりたいという、その気持ちとは裏腹にどんどん「ひとり」になってしまいます。作中では「ひとり」についてこう述べてます

仲間が欲しいのに誰もいない「ひとり」が「孤立」。

「ひとり」でいるのが寂しい「ひとり」が、「孤独」。

誇りある「ひとり」が、「孤高」。(P255)

兄の起こした事件のせいで「孤立」し「孤独」なシュウジは何とか「孤高」を目指そうとします。だけどどうしても「誰かとつながりたい」シュウジの運命がどう流れるかが物語のクライマックスです。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

十五歳の少年が過酷な運命を生き抜く物語なので、かなり重い話になってます。また、途中けっこうエログロな部分もあります。なので、精神的なコンディションが悪い時にはあまりおすすめしません。

 

ただ、過酷な運命を生きる少年生き様はそれだけで心を打つ、インパクトのある作品なので、おすすめ度は星四つです。

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