おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『インビジブルレイン』 誉田哲也 姫川動揺

   

書評的な読書感想文085

『インビジブルレイン』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

誉田哲也(作家別索引

光文社文庫 2012年7月

警察 サスペンス(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

今までと違い、事件よりも姫川の心の動きに焦点を当てた物語。刑事としても、女性としても揺さぶられる姫川の姿は、見てよかったような、見たくなかったような。そして、イマハルを初めおじさんたちがかっこいい。

 

 

あらすじ

姫川班が捜査に加わったチンピラ惨殺事件。暴力団同士の抗争も視野に入れて捜査が進む中、「犯人は柳井健斗」というタレ込みが入る。ところが、上層部から奇妙な指示が下った。捜査線上に柳井の名が浮かんでも、決して追及してはならない、というのだ。隠蔽されようとする真実――。警察組織の壁に玲子はどう立ち向かうのか?シリーズ中もっとも切なく熱い結末!(作品紹介より)

 

 

姫川シリーズ第四弾

ストロベリーナイト』、『ソウルケイジ』、『シンメトリー』と続く、姫川玲子を主人公とした刑事もの、姫川シリーズの第四弾です。

 

内容的なつながりは薄いのですが、姫川が刑事としてたどってきた歩みを知ってからこの作品を呼んだほうが楽しめると思うので、既刊の三作品を読んでから(順番はどういう順番でも良いので)この作品を読んだほうがよいでしょう。

 

 

今までにないパターン

短編集形式の『シンメトリー』は別として、『ストロベリーナイト』、『ソウルケイジ』は共に、ライバルになる刑事と対決しながら、犯人を追いかける形式でした。しかし、今回は対になる人物が刑事ではないこと、犯人を追いかけることよりも、姫川の女性としてや刑事としての心の動きを捉えることメインにしていることが、今までの作品と違うと思います。

 

今回、姫川に対になる人物はやくざの組長である牧田という人物。この牧田がある事件をきっかけに姫川と出会い、姫川の心を揺さぶることになります。

 

一方で、姫川に対しては上層部からある指令が出ることによって、刑事としても揺さぶられることになります。女性として、刑事として揺さぶられる姫川の心の動きを捉えるのが今回の物語のテーマになっているので、今までになく姫川の心理描写が多いと思います。

 

いろいろと動揺している姫川は今までのシリーズの凜としたイメージとはちょっと違っていて、これはこれで新鮮で面白いのですが、凛としたままのイメージを保って欲しかった気もします。

 

 

おじさんたちがかっこいい

前の長編二作ではライバルの刑事にスポットライトが当たっていましたが、今回は姫川の味方になるおじさん刑事たちにスポットライトが当たっています。

 

今回、姫川とバディを組む新キャラの下井や上司のイマハル、捜査一課の課長の和田など、おじさんたちがかっこよく書かれています。あんまり詳しく書くとネタバレしますが、刑事として動揺する姫川をある意味サポートしています。

「……ネエちゃん。どうも今日は、上の空って感じだな。」(中略)

「生理か」(中略)

「どんなって……見るからに、幸薄そうな顔だよ」(P127.128)

こんな感じで姫川に絡む下井ですが、口の悪さと裏腹に、ある事で動揺している姫川に発破をかけるやり取りがこの後続いたりします。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

事件の謎解きやライバル刑事との対決に主眼を置いてた今までの長編とは違い、姫川の心の動きがメインのこの作品はちょっと毛色は違いますが、今までのシリーズと同様、しっかり楽しめます。また、今回は衝撃的な結末で、次回作も気になるって事で、星四つです。

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