おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『浜村渚の計算ノート3と½さつめ』 青柳碧人 シリーズ最高傑作か?

   

書評的な読書感想文083

『浜村渚の計算ノート3と½さつめ ふえるま島の最終定理』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

青柳碧人(作家別索引

講談社文庫 2012年7月

ミステリー ラノベ(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

シリーズ初の長編。初心者向けの本格ミステリーと、数学に関するものと二つの謎が楽しめます。数字ミステリーは、小難しくないのに捻りが効いていて秀逸です。また、読後感がなんとも言えず切なく、余韻があります。

 

 

あらすじ

数学好きの人間だけが集まる奇妙なリゾートホテル“ホテル・ド・フェルマー”。一ヵ月前に起きた密室殺人事件に挑むことになった浜村渚と武藤刑事らはホテルに隠されたもう一つの謎に出会う。それは前オーナーの莫大な遺産のかかった不可思議な「なぞなぞ」だった。シリーズ初の長編が、文庫書下ろしで登場!(作品紹介より)

 

 

浜村渚シリーズ第四弾

毎度おなじみ「今好きな作家で打線を組んでみた」で投手陣の抑えに入っている青柳さんの作品。『浜村渚の計算ノート』『浜村渚の計算ノート2さつめ』『浜村渚の計算ノート3さつめ』の続編で、シリーズ第四弾

 

シリーズ四弾なのに『3と½』となっているのは、番外編だからです。登場人物は同じですが内容的にはあまりつながりがないので、この巻から読んでも楽しめます。

 

 

シリーズ初の長編で、本格ミステリー

シリーズ初の長編。そして、本格ミステリーです。本格とはこの場合、推理する材料が作中に全てそろっており、それを使って読者(探偵)が論理的に推理できるミステリーのことです。わりと自己流の理解なのでその辺はふわっとした感じでお願いします。作中ではとある孤島のホテルで密室殺人事が起きます。ザ・推理小説っていう感じです。

 

物語の「なかがき(物語の途中で作者が出てくる)」で

私は、読者に挑戦する!(P248)

と書いてることからも、読者との知恵比べを意識しているのが分かります。

 

ただ、かなり初心者向けでミステリーを読みなれている人が見たら、簡単かもしれません。その分、推理を当てることを楽しめると思います。

 

 

数学ミステリー

物語には殺人事件とは別にもう一つ大きな謎があります。それが、孤島にホテルを建てた、亡くなった元オーナーの遺産の隠し場所です。遺されたヒントは

「『星たちを、あるべき位置に』」(P115)

この謎を解くには数学の知識が必要ですが、それほど難しくないうえに、作中に必要な知識が書いてあります。ただ、シンプルだけどひねりに効いた謎は、答えを知ってすごく感心できるし、おしゃれだなと思いました。

 

これは秀逸です。

 

 

数学クイズもいろいろ

このシリーズでおなじみの数学のちょっとしたクイズも、安定の面白さです。たぶん数学が苦手な人でも挑戦できます。問題を一つだけ

「この八枚の金貨の中に、1枚だけ、偽物が混じってます。」

「偽物は他の7枚より、ほんの少しだけ軽いのです。確実に1枚の偽物を見つけるのに、最低この天秤を何回使えば良いでしょう。」(P58)

常識を破るというか、ちょっとした思い込みから外れることが出来ると解ける、面白い問題だと思います。答えはできれば物語を読んで欲しいのですが一応答えを載せます。いきなり答えが出てしまうので、クリックする際は注意してください。Yahoo知恵袋にリンク

 

 

読後感が切ない

この物語の最大の魅力は切ない読後感です。物語は基本的に主人公で今回の探偵役の武藤刑事の視点で進みます。なので、他の人物の心理描写はあまり書かれません。

 

ただ、事件が解決して以降は登場人物の心の揺らぎが一気に描かれます。犯人の心情が語られ、動機が明らかになると、なんとも言えず切ない気持ちになりました。最後に物語を締めくくるアイテム(何かはネタバレになるのでいえませんが)が出てきて、ちょっとグッときました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

長編で、いわゆるミステリー的なものと、数学を絡めた二つのミステリーが楽しめる上に、なんともいえない余韻を残してるれたこの作品は、浜村渚シリーズで一番面白いと思います。ただ、今後、三冊控えているのと、そもそも番外編をシリーズ最高傑作といっても良いのかという疑問もあり、無難に星四つです。

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