おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『古書収集十番勝負』 紀田順一郎 ビブリアも影響を受ける

   

書評的な読書感想文073

『古書収集十番勝負』  (『魔術的な急斜面』改題)(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

紀田順一郎(作家別索引

創元推理文庫 2000年12月

サスペンス ミステリー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

神保町の古本屋街の歴史や、ネットが普及する以前の古書の集めかたがわかり興味深いです。感情移入できる人物がいないため、ラストですっきりできませんでしたが、どたばたサスペンスとしてそれなりに楽しめました。

 

 

あらすじ

神保町に店を構える村雲書店の跡継ぎとなるのは、長女の婿か、次女の婿か? 余命幾許もない主人が考えだした後継者選びの方法は、稀少価値の高い古書十点を、タイムリミットまでにどちらが多く入手できるか競い合わせる、というものだった。この争いに古書マニアの大学教授とその宿命のライバルである塾経営者も絡み、事態は紛糾する。大好評〈ビブリオ・ミステリ〉シリーズ。(作品紹介より)

 

 

ビブリアも影響を受ける

三上延氏推薦──「「ビブリア」を書くにあたって強く影響を受けています。」

とあるように、以前紹介した『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズの三上延さんが影響を受けた作品です。『ビブリア』好きとして外せないかなと思い読んでみました。

 

 

古本屋街・神保町の歴史とバブル

この物語、主人公は?といわれるとちょっと考えてしまいます。わりところころと視点が変わるので、誰とも言いにくいので、しいて言えば解説にあるように

神保町という空間そのものが主人公となっている。(P289)

今でも150軒以上の古書店がある街・神保町が舞台の物語です。

 

神保町が主人公といわれるだけあって、作中で神保町の成り立ちや歴史などにも触れられていて、なかなか興味深いのです。ただ、なにより面白いのは、物語の年代がちょうどバブル景気のころ1990年代で、インターネットが普及していない時代の古書の探し方などが書かれていることです。

 

デパートの古書即展はあたり前で、愛書家の家に直接訪問して交渉したり、新聞の死亡記事をチェックして蔵書家や作家などが亡くなっていたら、遺族に交渉して蔵書を譲り受けたりもするそうです。

 

今なら、インターネットで本を販売している古書店も多いのでネットが中心でしょうが、当時のように足で本を探すほうが充実感はありそうです。

 

 

ミステリーというよりもコメディよりのサスペンス

発売レーベルが創元推理文庫なのでミステリーとして期待する人もいるかもしれませんが、ミステリーとしてはたいした謎もなく、トリックもあるにはありますが単純で、期待するほどのものではありません。

 

むしろ、ややコメディよりのどたばたサスペンスといえます。神保町の古書店の跡継ぎを決めるため、二人の候補が十冊の古書を手に入れるために奮闘するのが本筋ですが、いつの間にかマニアの大学教授や塾経営者もからんできて、貴重な古書の争奪戦を繰り広げることになります。古書を手に入れようとする執念がちょっと滑稽にも見えるのが、コメディ色を強めています。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

個人的に残念なのは共感できる登場人物がいないので(反感をもつ登場人物はいますが)、最後まで物語に入り込め切れず、ラストでのどんでん返しにもすっきり出来ませんでした。ただ、本筋以外の神保町の歴史や古書の手に入れ方などは楽しめたので、星三つです。

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