おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『ビブリア古書堂の事件手帖4』 三上延 ついに母親登場

   

書評的な読書感想文072

『ビブリア古書堂の事件手帖4~栞子さんと二つの顔~』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

三上延(作家別索引

メディアワークス文庫 2013年2月

ミステリー ラノベ(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

ついに栞子の母親が登場。予想以上に切れ者で屈折した性格のようで、主人公と栞子を翻弄します。物語がちょっと不穏な感じに。謎解きは江戸川乱歩にまつわるもので、シリーズ初の長編で読みごたえがありました。

 

 

あらすじ

珍しい古書に関係する、特別な相談──謎めいた依頼に、ビブリア古書堂の二人は鎌倉の雪ノ下へ向かう。その古い家には驚くべきものが待っていた。稀代の探偵、推理小説作家江戸川乱歩の膨大なコレクション。それを譲る代わりに、ある人物が残した精巧な金庫を開けてほしいと持ち主は言う。金庫の謎には乱歩作品を取り巻く人々の数奇な人生が絡んでいた。そして、迷宮のように深まる謎はあの人物までも引き寄せる。美しき女店主とその母、謎解きは二人の知恵比べの様相を呈してくるのだが──。(作品紹介より)

 

 

ビブリアシリーズ第四弾

今好きな作家で打線を組んでみた」で投手陣の先発にいる三上延さんの作品。以前紹介した『ビブリア古書堂の事件手帖』、『ビブリア古書堂の事件手帖2』『ビブリア古書堂の事件手帖3』の続編です。

 

今回で物語が大きく動き出します。なので、以前の巻を読んで人間関係などを理解してからこの巻を読むことをおすすめします。

 

 

ついに登場

前作までに存在がほのめかされていた、栞子さんの母親・篠川智恵子がついに登場します。古書の知識をはじめ、洞察力、推理力など栞子さん以上の切れ者で、行動力もあります。一方で、抜群の能力を生かして知りえたことを利用して、脅迫めいたことまでして古書を手に入れるなど、ちょっと剣呑なところもあります。

 

旦那と子供置いて十年前に飛び出した母親を栞子さんは嫌っていますが、好奇心のためもあり、母親のように古書にまつわる探偵めいたことをしています。

 

篠川智恵子について私が思ったのは、料理マンガの『美味しんぼ』の海原雄山に似ているなと。それも、初期の頃の招待されたパーティーで鴨を持参したわさび醤油で食べて、こっちの方がうまいとか言い出していた頃の雄山です。「女将を呼べ」と言っているときです。

 

雄山ほどむやみにキレまくってはいませんが、古書に関してしか関心がなくほかのことに目が行かないところが似ていると思います。『美味しんぼ』では雄山と山岡は和解しましたが、ビブリアシリーズではこの親子はどうなるのか、続きが楽しみです。

 

 

篠川智恵子の目的

今作では智恵子が十年前に家を出た理由にも触れられています。まあ、予想はつきますが、珍しい古書を求めてとのことです。それが一体何なのかは、まだ分かりませんが、おそらく最終巻で栞子さんとなんらかの形でその本を探すことになるのでしょう。

 

この物語では実在の貴重な本が出てきますが、そのなかで色々な研究で存在は分かっているのに実物が発見されていない本が出てきたりします。『ビブリア古書堂の事件手帖3』に出てきた宮沢賢治の『春と修羅』の未発見のバージョンなどがそうなのですが、おそらく智恵子が求めている本もそのようなものになると思います。

 

作者は太宰治に思い入れが強そうなので、太宰の未発表の原稿とかなのかなって予想したりしています。

 

 

シリーズ初の長編

今回シリーズは初の長編になります。そしてテーマは江戸川乱歩。メインの謎は乱歩作品の収集家が残した金庫を暗号を解くというもの。謎を解くためにはさまざま人の絡まった因縁を解きほぐす必要があり、栞子と主人公の五浦は協力して解決を目指します。

 

今までの短編の読みやすさはそのままで、幾重にも謎や因縁が絡み合っていて読み応えがありました。乱歩作品に絡めた謎もあったり、サプライズ的なものも用意されていて、感心したり驚いたりしました。

 

 

江戸川乱歩の著作権が切れた今こそ

今作のテーマは全編で江戸川乱歩なので乱歩の作品はたくさん紹介されています。

 

江戸川乱歩といえば『怪人二十面相』をはじめとした『少年探偵団』シリーズというイメージでしたが、大人向けの幻想・怪奇小説や犯罪小説も面白いことをはじめて知りました。

 

作中で紹介されている『孤島の鬼』は

「ありえない状況で発生した連続殺人事件の犯人を追ううちに、ある一族の遺した暗号文の謎に巻き込まれていく」(P70)

内容で、同性愛や奇形人間が出てきたりします。他にも家具職人が自分の作った椅子にもぐりこんで人間の肉体に触れる快楽にのめりこむ話『人間椅子』など怪しげで魅力的な作品が紹介されています。

 

2016年に著作権が切れて「青空文庫ホームページへ」などでただで読めるようになり、全集的なのもの出版されているので、これを機会に挑戦してみようと思いました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

母親の登場。シリーズは初の長編。と目新しい内容でシリーズもの特有のマンネリ感もなく楽しめましたってことで星四つです。

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