おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『アキハバラ@DEEP』 石田衣良 持つとちょっと熱いかも

   

書評的な読書感想文071

『アキハバラ@DEEP』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

石田衣良(作家別索引

文春文庫 2006年9月

青春 友情(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

筋は単純。秋葉原とインターネットを舞台に、コンプレックスをもった六人のオタクが、成功して、挫折して、復活する話です。ただ、この中には、物凄い熱量、喜怒哀楽、あとは、ちょっとした仕掛けが入っています。

 

 

あらすじ

社会からドロップアウトした5人のおたく青年と、コスプレ喫茶のアイドル。彼らが裏秋葉原で出会ったとき、インターネットに革命を起こすeビジネスが生まれた。そしてネットの覇権を握ろうとする悪の帝王に、おたくの誇りをかけた戦いを挑む!TVドラマ、映画の原作としても話題の長篇青春電脳小説。(作品紹介より)

 

 

街と旬なものと変わらないもの

今好きな作家で打線を組んでみた」で一番に入っている石田衣良さんの作品です。

 

同じ石田さんの作品の『池袋ウエストゲートパークを紹介したときでも、同じようなことを書きましたが、旬な題材(インターネット)を取り上げつつも、普遍的なテーマ(若者の苦悩と成長)を内包しているので、鮮度は落ちていますが(物語の舞台はITバブル崩壊直後なので、15年近く前)楽しめます。

 

『池袋ウエストゲートパーク』では、物語の器はタイトル通り池袋でしたが、今回はインターネットが題材なので、電脳と、おたくの街、秋葉原が舞台です。

 

 

何かを始めるときの熱量

この物語の何に引き付けられるかというと、何かを始めるときの熱量が、文面から伝わってくることです。

 

主人公たちはそれぞれ奇妙な病気やコンプレックスを抱えて、社会からドロップアウトしていました。あるきっかけで六人は出合い、それぞれの特技を活かしてホームページを立ち上げます。

 

ホームページに人を集めるためにアイディアを練り、あるシステムをホームページ上で公開する所から物語りは動き出します。このシステムを作り出すときの「新しい何かを始めるときに起こる熱量」が物凄く伝わってきて、読んでる私もわくわくしました。連日の徹夜も苦にならない前向きなエネルギーにあふれた様子は、人によって程度の差はあるでしょうけど、誰でも体験したことがあり(例えば新しいゲームを始めるなどちょっとしたことでも)共感できると思います。

 

 

ちょっとした仕掛け

この物語にはちょっとした仕掛けにあふれています。ストーリー自体はごく単純で、成功、挫折、復活の三段階です。ITの世界では弱小の六人組がアイディア一つで成功を掴み取りそうになりますが、途中で成果を巨大なIT企業に奪われます。けれど、再び立ち上がり、復活する話です。

 

物語の語り手がこの物語より後の時代から回想する形で話を進めます。しかも、ストーリーの結果に関しては、前フリとして事前にバラしてしまいます(なので、私も堂々と結果に関してはバラします)。したがって、ストーリーの結果で驚くことはありません。

 

ただ、要所要所で、思わぬ形で伏線を回収してくるので、驚かされます。特に、主人公達が挫折を味わって以降、思わぬ形で思わぬものが主人公達を助けてくれるのが、驚くと共にちょっと感動してしまいます。

 

分かりやすいストーリーに伏線を仕掛けて驚かしてくれるのはさすが石田衣良さんといった感じです。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

主人公達が、とあるアイディア生かしたシステムを実現させるために、連日徹夜をして作業に取り組むシーンがあるのですが、そこで私は感情移入スイッチがMAXになりました。主人公達と一緒に、システムの完成に喜び、理不尽にそれ奪われ怒り、どうしようもない絶望に哀しみ、復活のための戦いを楽しみました。

 

物語の中に熱を感じ、喜怒哀楽を共有できる作品ってことで星四つです。

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