おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『浜村渚の計算ノート3さつめ』 青柳碧人 サイン、コサイン、、、

   

書評的な読書感想文068

『浜村渚の計算ノート3さつめ 水色コンパスと恋する幾何学』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

青柳碧人(作家別索引

講談社文庫 2012年6月

ミステリー ラノベ(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

今回は幾何学=図形の問題がメインです。三角関数が苦手な人は必見かも。他には論理の問題がクイズみたいで楽しかったです。また、函館編は名物も面白キャラも盛りだくさんの上、ラストの渚の台詞は名言です。

 

 

あらすじ

函館の数学エリート養成所「斐三郎(あやさぶろう)進学会」の卒業生たちが「黒い三角定規」の一員となりテロを画策しているとの情報が入った。数学好き中学生・浜村渚は武藤刑事と共に函館に向かう。五稜郭の数学的美しさに感動する渚だが、そこに最強の敵キューティー・オイラーが現れ……。絶好調数学ミステリー第三弾。(作品紹介より)

 

 

浜村渚シリーズ第三弾

今好きな作家で打線を組んでみた」で投手陣の抑えに入っている青柳碧人さんの作品。以前紹介した『浜村渚の計算ノート』『浜村渚の計算ノート2さつめ』の続編です。連作短編形式で前作とのつながりはあまり強くないので、これから読んでも楽しめます。

 

内容は相変わらずで、警視庁の刑事・武藤と数学大好き中学生・浜村渚が数学の復活を目指すテロリスト軍団「黒い三角定規」と対決する話です。数学愛にあふれたうんちくやちょっと手を止めて考えたくなる数学の問題は今回もたくさん出てきます。

 

 

水色のコンパスと恋する幾何学

とサブタイトルに有るように、幾何学=図形がメインテーマです。正多面体の不思議な性質や図形を利用した本格ミステリー(風?)の話があったりしますが、個人的には三角関数の話が面白かったです。

 

三角関数とはサイン・コサイン・タンジェントのあれです。多分高校数学で多くの人を恐怖させた分野だと思いますが、作中では図解入りで分かりやすく解説してあります。しかも、三角関数を恋愛の三角関係に例えて説明してる念の入れようです。まさに恋する幾何学。

 

ただ、この話で一番私が気になったことは

「じゃあ、もうちょっと別の説明、考えさせてください。」(P105)

という数学大好き中学生・浜村渚のセリフです。刑事の武藤(数学音痴)が三角関数の説明にいまいち納得ができなかった時に、こういっているのですが、すっとこういうセリフが出るのって結構大切なのかなって思いました。

 

学校の勉強だと理解する道筋まで同じにしがちですが、正しく出来れば人によって理解の仕方はそれぞれでいいはずで、そのことに浜村渚は気づいているからこそのこのセリフかなって思いました。

 

山に登るときあるルートでうまくいかなそうなら、別のルートを探せばいいだけのはずです。

 

 

論理の問題

図形以外では、論理の問題がパズルやクイズのようで面白かったです。

 

論理とは、例えば『クレタ人は嘘つきだと、クレタ人は言った』というパラドックスなどが紹介されています(ちなみにこの文章クレタ人が正直者でも、嘘つきでもうまく成立しません)。論理の問題は、言葉の思考力の問題ともいえるので数学が苦手な人でもチャレンジできます。

 

函館へ

今回武藤と渚のコンビが函館へ行きます。函館ではどさんこFBIと呼ばれる北海道の人気刑事・牛河原警部や『浜村渚の計算ノート2さつめ』に出てきた宿敵キューティー・オイラーなど、濃いキャラがたくさん出てきます。また、かにやら朝市やら(函館の有名店ラッキーピエロっぽい)ハンバーガーやら夜景など、名所名物も盛りだくさんです。

 

ただ、この話の見せ場は五稜郭の数学的なヒミツと五稜郭に感動した時の渚のキメ台詞にあると思います。五稜郭からどんなメッセージを渚が受け取ったかは読んで確かめて欲しいのですが、シリーズ屈指の名台詞じゃないかなって思います。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

相変わらず、数学愛にあふれているこのシリーズ。今回は図形の問題が多いので、文章だけでなく図を使った説明もたくさんあって分かりやすかったです。中学や高校の時に出会っていたら、数学に向きある姿勢が変わっていたかもって改めて思わされたってことで、星四つです。

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