おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

*

『ビブリア古書堂の事件手帖3』 三上延 古書交換会に行ってみたい

   

書評的な読書感想文060

『ビブリア古書堂の事件手帖3 栞子さんと消えない絆』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

三上延(作家別索引

メディアワークス 2012年6月

ミステリー ラノベ(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

テーマは「家族の絆」です。どの話でも家族に本を贈るのですが、どれもその家族の絆の形に相応しい本が選ばれています。また、本にまつわる話は相変わらず面白く、宮沢賢治の虚実織り交ぜた話はわくわくしました。

 

 

あらすじ

鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連となった賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。人々は懐かしい本に想いを込める。それらは予期せぬ人と人の絆を表出させることもある。美しき女店主は頁をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読み取っていく。彼女と無骨な青年店員が、妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは?絆はとても近いところにもあるのかもしれない――。これは“古書と絆”の物語。(作品紹介より)

 

 

ビブリアシリーズ第三弾

今好きな作家で打線を組んでみた」で投手陣の先発にいる三上延さんの作品。以前紹介した『ビブリア古書堂の事件手帖』、『ビブリア古書堂の事件手帖2』の続編です。比較的以前の作品とつながりが薄いシリーズなので、この巻から読んでも楽しめます。

 

 

テーマは家族の絆

サブタイトルに「栞子さんと消えない絆」とあることからも分かるように、テーマは絆です。特に家族の絆。三話の短編からなるこの作品、夫婦に親子、さらにもうひとつはまた別の形の家族の絆を描いています。

 

その絆の証となる古書が三冊出てくるのですが、そのチョイスが絶妙です。『たんぽぽ娘―海外ロマンチックSF傑作選2 (1980年) (集英社文庫 コバルトシリーズ)〈amazonへ〉』と、ある映画にもなった絵本と、宮沢賢治の『『春と修羅』〈amazonへ〉』が取り上げられているのですが、どの作品もその家族の絆の形をしっかり現しています。

 

 

宮沢賢治の初版本

今回の作品も他のシリーズ同様、古書や古書店に関するうんちくが豊富で楽しめます。

 

今作では古書組合の「古書交換会」が取り上げられています。「古書交換会」というのは、古書店同士が古書を売買する市場のようなものです。古書店向けなので、一般人は入れないそうです。残念。市場なので当然セリが行われるのですが、「三枚札」とよばれる、入札価格を三つ書く入札方法などが紹介されていて興味深いです。

 

ただ、今作うんちくで一番面白かったのは、宮沢賢治の話です。宮沢賢治が生前に出版した本は『春と修羅』と『注文の多い料理店』しかないことや、自分の作品を何度も推敲をしているため、何種類もバージョンが存在することなど、初めて知ることが多かったです(私の知識が少ないだけですが、、、)。

 

そうした事実を物語の中に上手く取り込み、虚実織り交ぜた『春の修羅』の初版本に関するヒミツの話は、きっと現実にもこんなことがあるかもしれないと思わせられ、わくわくしました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

ビブリア古書堂の事件手帖2』で匂わされた母親の存在がだいぶ濃くなっています。また、さらにもう一人キーパーソンが出てきて(ノーマークでしたが言われてみれば、重要キャラです)、今後にさらに期待が膨らむってことで、星四つです。

よろしかったらクリックお願いします。

 

 - ☆☆☆☆ , ,