おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『ビブリア古書堂の事件手帖2』 三上延 古書店員ってちょっとあこがれます

   

書評的な読書感想文052

『ビブリア古書堂の事件手帖2 栞子さんと謎めく日常』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

三上延(作家別索引

メディアワークス文庫 2011年10月

ミステリー ラノベ(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

謎解き要素は少な目ですが、本にまつわるちょっと苦いけど、ほっこりする話が楽しめます。また、古書店の裏話や本の蘊蓄が面白いです。前作より主人公の二人の関係が接近するのが、微笑ましいやら、恥ずかしいやら。

 

 

あらすじ

鎌倉の片隅にひっそりと佇むビブリア古書堂。その美しい女店主が帰ってきた。だが、入院以前とは勝手が違うよう。店内で古書と悪戦苦闘する無骨な青年の存在に、戸惑いつつもひそかに目を細めるのだった。変わらないことも一つある──それは持ち主の秘密を抱えて持ち込まれる本。まるで吸い寄せられるかのように舞い込んでくる古書には、人の秘密、そして想いがこもっている。青年とともに彼女はそれをあるときは鋭く、あるときは優しく紐解いていき──。(作品紹介より)

 

 

ビブリア第二弾

今好きな作家で打線を組んでみた」で投手部門の先発に入っている三上延さんの作品で、以前紹介した『ビブリア古書堂の事件手帖』の第二弾です。今回も連作短編集の形式なので、前作を見てない人も問題なく楽しめると思います。ただ、主人公の五浦と栞子さんの前作からの距離感の変化がちょっとしたテーマにもなっているので、前作から読むとより楽しめます。

 

 

ちょっと苦くてほっこりする話

主人公の五浦の元彼女からビブリア古書堂(ヒロインの栞子さんが店主で五浦が店員)に宅買いの依頼が入りました。宅買いとは自宅に出張して、古書の買取をすることです。依頼通り元彼女の実家に向かうと、元彼女の複雑な家庭事情が見えてきました。そして、古書の買取を指示したのは最近なくなった父親ということが分かりました。

 

生前父親とビブリア古書堂は取引がなかったのに、なぜわざわざビブリアを指定して買取をさせたのか。そこに父親の隠された意図がありました。

 

ビブリアの店主・栞子さんは本に関する膨大な知識と鋭い観察眼で、本にまつわる謎を解き明かしていきます。どの話もちょっぴり苦い部分がありますが、最終的にはほっこりできる話になってます。

 

 

栞子さんと謎めく日常

とサブタイトルがあるように、栞子さんと五浦の二人で日常的なビブリア堂の営業をしているシーンが多くあります。こういったシーンで古書店の裏話なんかがちょいちょい書かれていて面白いです。

 

個人的な偏見かもしれませんが、本好きな人は作家と編集者と書店員(新刊、古書どちらも)にあこがれると思います。私は、作家と古書店員にあこがれたクチです。なので、古書店の裏話は興味深く読めました。たとえば、常連客の多い古書店では定期的に商品の入れ替えが必要であるとか、宅買いの値段のつけ方のコツなど、ちょっと感心してしまいました。

 

 

本のうんちくは相変わらず

本のうんちくは相変わらず愛に溢れ面白いです。個人的にそそられたのは『時計じかけのオレンジ 完全版〈amazonへ〉』。キューブリックの映画でも有名な作品です。私は映画版しか見たことないのですが、この作品二つのバージョンが存在しています。

 

本当の最終章まで収録されている完全版と、映画の元ネタになったアメリカで出た版です。完全版と映画版では解釈が正反対になるとも言える内容で、私は映画しか見てないので完全版に興味がわきました。

 

これ以外にも某有名漫画家がデビュー当時、足塚不二雄(まあ、誰だか答えを言っているようなものですが)の名前で出したマンガ『UTOPIA 最後の世界大戦』は、今でも映画化できそうな内容で復刻版があるようなのでちょっと読んでみたいと思いました。

 

 

中学生か!?

今回の物語には前回以上に、恋愛要素が含まれています。といっても、日常の業務をしているうちに、親密度ががましてきて、色々雑談できるようになってきたといったところですが。二十歳をだいぶ越した大人同士で中学生かとつっこみたくなりますが、なんだか微笑ましいような、見ていて恥ずかしいような。

 

ただ、上でも書きましたがちょっと苦い話が多かったので、微笑ましい二人の恋愛が物語のシリアスにしすぎないでくれるのでありがたいです。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

前作に比べ今作は謎解き要素は少なめです。連作短編のひとつは、読者に全ての情報が提示されていないのでミステリーとしては不成立かなって思いました。ただ、前作よりも、一つ一つの物語にストーリー性があって、いろいろと複雑な感情を呼び起こさせられます。

 

また、前作で(おそらく意図的に)全く出てこなかった人物が(名前だけですが)登場して、ちょっとキナ臭い雰囲気も漂ってきました。次回作はどうなるか、期待もこめて星四つです。

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