おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ』 高橋由太 隠し玉二球目

   

書評的な読書感想文047

『もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸』(文庫)

おすすめ度☆☆(星数別索引&説明

高橋由太(作家別索引

宝島社 2010年5月

時代 ファンタジー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

場面転換がブツ切れで読みにくく、妖狐オサキの憎まれ口が同じような繰り返しでくどいです。ただ、主人公達をはじめ印象に残るキャラが多く、物語の雰囲気にマッチしていませんが、ホラーシーンに迫力がありました。

 

あらすじ

江戸・本所深川で、献上品の売買を行う、献残屋の手代として働く周吉。彼はオサキという妖狐に憑かれたオサキモチであり、いつも懐にいるオサキに、恋に仕事にと、やることなすことからかわれている。ある夜、辻斬りに襲われ、殺人も起きる中、店の一人娘・お琴がいなくなった。周吉はオサキモチの不思議な力を使い、お琴を捜しに夜の町へ出て行く。おとぼけ手代と妖狐一匹の妖怪時代劇。(作品紹介より)

 

 

『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉

『このミステリーがすごい!』大賞とは、エンターテインメントを第一義の目的とした広義のミステリーをテーマとした、公募の新人文学賞です。この作品は受賞はできなかったものの、将来性を買われ大幅改変を加え、「隠し玉」として出版にいたった作品です。同じ『このミス』大賞の隠し玉には前に紹介した『珈琲店タレーランの事件簿』があります。

 

 

気になるところはいろいろあります。

この物語、読んでいると気になるところがいろいろ出てきました。

 

例えば、盛り上がりかけたところで回想に入ったり、急に時間を戻したりと、場面展開がぶつ切りで状況を把握するのに時間が掛かり、物語になかなか没入できないことです。もうちょっとエピソードを整理して分かりやすくしてほしいと思いました。

 

また、この物語を一言で言うと主人公の周吉という青年とオサキという狐の姿をした妖怪のバディ物なのですが、オサキが周吉のことをからかうシーンがかなりあります。軽妙なやりとりでほほえましいのですが(同じ江戸時代の妖怪物『しゃばけ』が思い出されます)、これだけ頻繁にあるとちょっとくどく感じ、オサキが好きになれなくなってしまいました。

 

この作品シリーズ化してますが、次回作を読もうとは思いませんでした。

 

 

良いところもたくさんあります。

この物語、主人公達をはじめ、印象的なキャラクターが多く出てきます。周吉と妖怪のオサキは普段は、憎まれ口を言い合ってますが、いざというときには自分の身をていして相手を守ります。

 

また、要所、要所で主人公達を助けてくれる柳生新陰流の達人・蜘蛛の介という老人は、ひょうひょうとしながらも只者ではない感じがかっこいいです。周吉が奉公に上がっている店の女将・しげ女は、普通の人間には見えないオサキが見えているようでもあり気になります。

 

また、表紙や一人と一匹の軽妙なやり取りが多い作品の雰囲気には合いませんが、ホラーシーンが(正直無駄に)迫力があります。それもそのはずで、作者の高橋さんは角川書店のホラー大賞の最終選考に残ったことがあるそうです。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

この物語で一番印象に残ったのは、ホラーシーンです。高橋さんの書いたホラー作品があるのなら読んでみようかと思いました。ただ、この作品に関しては、場面転換の拙さやオサキが周吉をからかい場面がしつこいのが苦手なので残念ながら、星二つです。

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