おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『上野正彦の「死体学」ノート』 上野正彦 監察医がすごい

   

書評的な読書感想文045

『上野雅彦の「死体学」ノート 死体を見れば、事件の真相は必ず見えてくる』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

上野正彦(作家別索引

PHP文庫 2007年4月

ノンフィクション(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

著者は元監察医。変死体のプロが明かす、他殺か自殺かの見分け方などは興味深く、変死についてのさまざまな具体例はそこらの小説より面白いです。著者のような監察医が全国にいれば、防げる事件が絶対にある。

 

 

あらすじ

増え続ける自殺、バラバラ殺人、親殺し子殺し…。死体を見れば、時代や人間そのものが見えてくると著者は言う。本書は、30年間で2万体もの“死体”と向き合った名監察医が、多くの事件の真相を解明してきた独自の視点を明かす。「その首吊り死体は自殺なのか?他殺なのか?」「知能犯の上を行く検死のプロのテクニック」など、“死者の名医”が語る特別講義録。『上野正彦の「死体」論』を改題。(作品紹介より)

 

 

監察医とは?

著者はベストセラー作品の『死体は語る 〈amazonへ〉』で有名な上野正彦さんで、元監察医の方です。監察医とはなに?ということですが、検死といって明らかな他殺と病院で亡くなった人以外の死因を特定する仕事です。事故死や突然死、自殺、自宅での病死などが対象に当たります。

 

最近はドラマや小説にも良く出てきて、先日紹介した『ストロベリーナイト』でもちょこっとですが出てきます。

 

 

小説のような事件

色々興味深い話が多いのですが、ミステリー小説のような話が一番面白いです。

 

例えば、合鍵屋というものがまだなかった時代、鍵のかかった部屋である男性が死んでいました。警察は病死としましたが、著者が検死をしてみると明らかに窒息死しています。解剖して詳しく確認しようとする著者と、病死で終わらそうとする警察(鍵がかかって殺人の余地はないため)で意見が分かれました。結果、著者の意見が通り解剖してみると、首を絞めて殺されたことが判明しました。

 

トリックは単純で大工の犯人が堅い木を削って合鍵を作ってだけでした。けど、はじめに他殺かもと疑わずに病死で処理していたら犯人は逃げ延びたかもしれません。

 

これ以外にも、飛び降り自殺と落下事故の傷のつき方の違いの話など興味深いものがたくさんありました。

 

 

監察医制度の大切さ

著者が本文の中で繰り返し述べていることの一つが監察医制度の大切さです。実は自殺や不審な死の検死を専門とする監察医は、大都市にしかいません。それ以外の地域では、普通の内科医などの開業医が検死をすることも多いようです。当然死体の専門家ではないので、自殺のような他殺を見抜けなかったりします。

 

保険金殺人で何人も人を殺される事件がありますが、著者曰く、ちゃんとした監察医が検死すれば二度目、三度目の殺人は防げていたそうです。

 

ちょうど今、大きなニュースになっている、川崎市の老人ホームで老人をベランダから落として殺害した事件も、しっかりした検死が行われていればすぐに解決していたかもしれないなと思いました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

上に上げたもの以外にも、例えばミステリーでよく目にする死後硬直や死斑の説明など興味深い内容はたくさんあります。ただ、もうちょっと具体例が多くてもいいかなってことで、星三つです。

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