おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

*

『浜村渚の計算ノート』 青柳碧人 紙と鉛筆の用意を

      2016/02/10

書評的な読書感想文040

『浜村渚の計算ノート』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

青柳碧人(作家別索引

講談社文庫  2011年6月

ミステリー ラノベ(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

突飛な世界観で起きる数学ミステリーは、挑戦したくなる面白さと取っつきやすさです。また、主人公のほのぼのキャラから語られる、数学愛溢れる蘊蓄も分かりやすく面白い、数学好きも、苦手な人も楽しめる作品です。

 

 

あらすじ

「数学の地位向上のため国民全員を人質とする」。天才数学者・高木源一郎が始めたテロ活動。彼の作った有名教育ソフトで学んだ日本人は予備催眠を受けており、命令次第で殺人の加害者にも被害者にもなりうるのだ。テロに対抗し警視庁が探し出したのは一人の女子中学生だった!新時代数学ミステリー!!(作品紹介より)

 

 

開き直った世界観

物語の世界は数学など理系科目が、学校教育から排斥された世界です。少年犯罪の多発は、理系科目の教育に原因があると考えられているためです。

 

そこで黒い三角定規なるテロ組織を率いる、天才数学者・高木源一郎は数学の地位向上を求めて、数学にまつわるテロ行為を行います。

 

物語はこんな世界観で進行します。はっきり言って数学とミステリーを結びつける為だけの設定だと言えます。けれど、変にリアリティーにこだわらずに開き直ったこの世界観が、面白くってすごく好きですね。リアリティーのある世界観なのに、トリックを成立させるために急におかしな建物とか出てくるミステリーがダメとはいいませんが。

 

 

数学の謎解き

世界観が面白くても、肝心の謎解きが面白くなければミステリーとしては意味がないのですが、この物語の数学の謎解きはちょっと考えてみようかなと思わされる絶妙な難易度で楽しめました。

 

例えば、フィボナッチ数列を使った謎解きがあります。フィボナッチ数列とは「1,1,2,3,5,8,13,21,34,55」といった数列で、前とさらにその前の数字を足したものが、次に来る数列です。

 

わかりにくいので実例。はじめは「1」。次も「1」。ここまでは、勝手に決まっていると思ってください。次は1+1で「2」。次は1+2で「3」。次は2+3で「5」と続きます。作中の説明はもっとわかりやすいです、、、。

 

作中ではこのフィボナッチ数列を使ったトリックがあるのですが、上記のように足し算で簡単に求められる数列なので(数列の意味さえ理解してしまえば)難しくはないです。けど、トリックはひねりが効いていて計算自体は難しくないけど、簡単には答えが出ない問題になってます。そのため、思わず考えさせられる絶妙の難易度になってます。

 

また、本筋にはかかわらないところで、結構難易度の高い(と思われる)問題も出てきます。本筋にかかわらないので、答えが載っていません。なので、数学初心者は流せばいいですし、自信のある人は挑戦できます。円周率が3.05より大きいことを証明できますか?

 

 

蘊蓄が面白い

作者はこの作品を

本当の意味での初心者向けであり、かつ数学への愛に満ち溢れており、出来れば読んでるうちに数学の知識が身につく(あるいは、そんな気になる)作品が読みたくて(P278)

書いたとあとがきで書いてます。そのため、ちょいちょいはさまれる蘊蓄が面白いです。

 

上に書いたフィボナッチ数列は自然界にもたくさん出てくるそうです。作中ではパイナップルにこの数列が隠れていることが、書かれていますが、私が調べたうんちくも少し。

 

松ぼっくりやひまわりの渦の本数がフィボナッチ数列の中の数になるそうです。あと、驚きなのが色々な花の花びらの枚数がフィボナッチ数列の中の数、「3,5,8、13、、」に当てはまるそうです。今度数えてみないと。

 

ただ、こんな感じで本文を読んで、自分で調べたり、計算したりした時点で作者の術中にはまってるんでしょうね。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

今好きな作家で打線を組んでみた」で投手陣の押さえに入ってる青柳碧人さんの「浜村渚の計算ノート」。この物語の山場と聞かれれば、やっぱりトリックを暴いて犯人を追い詰めるシーンでしょう。火サスの崖のシーン的な奴です。どう説明してもネタバレになるので書けませんが、0÷4=0だけど4÷0は計算できないってことをテーマにした話での、犯人説得のシーンはちょっと感動で震えました。

 

数学とミステリーを融合させたこの作品は、完結までシリーズを追いかけれる面白さってことで、星四つです。

よろしかったらクリックお願いします。

 

 - ☆☆☆☆ , ,